ただいまー
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さっと踵を返し、研究所から出ようとするジェイドを慌てて追うディスト
未だ軍服を着たままのジェイドは口にした通り、一分一秒でも研究に明け暮れたいのか、手元の資料を読みながら歩いている。
仲間たちへの関心など無いに等しかった。
「ま、待ってくれ!ジェイド!意味わかんねぇよ、俺、わかんねぇよ!」
ルークが声を張り上げる。ジェイドはその声に何の反応も示さなかった。
呆気にとられる仲間たちを前に、ディストの譜業機械があらわれ、ジェイドを乗せて飛び去ってしまった。
ディストの勝ち誇ったような笑い声が距離とともに消えていく。
逃げていったはずなのによくもまぁあんな笑い声を出せるものだとアニスは呆れた。
「……信じられるか?」
「全然。」
緊張感の足りない仲間たちの声。
「何考えてんだろう、大佐」
どう受け止めていいのかわからず困惑する仲間たち。
一人、ティアは残された音機関へと足を運ぶ。
資料などは殆どジェイドがまとめて持っていったようで、動かし方のわからない機械を前にティアは眉を寄せる。
そんな彼女に気づいてガイがティアの元へと歩み寄る。
「動かせる?」
「やってみる」
短い応答の後、ガイがパネルを押していく。
やがて画面に映し出された文字は、しかしこの場にいる者たちに理解できるものではなかった。
「……なんて書いてあるんだ?」
「…………さぁ」
なんとも締りのない空気が場を濁す。
理解できないが、文字を目で追っていたティアは仲間たちの知らぬところで再び眉を寄せた。
ところどころで見つけた単語は、「フォミクリー」「レプリカ」
「大佐のことだから、やっぱり何か考えがあってのことじゃないのー?」
「だよなぁ」
アニスの言葉にガイが賛同する。
「しかし、どうやってヴァンの元に入り込んだのかしら。普通は警戒して許しませんことよ?」
「実はヴァンに操られてるんじゃないのか?」
「「「あの大佐が?」」」
ことをそこまで大きく捉えていない仲間たちをよそに、一人ルークは地面を見つめる。
また見捨てられたのではないだろうか
俺が、あんな馬鹿なことを言ったから
「ジェイド、やはりあなたは天才です!私とあなた、二人でやれば、できないことなんて何もない!」
次々と、異常な速さで進んでいく研究にディストは歓喜の声を上げる。
「騒ぐ暇があったら頭を動かしなさい」
「えぇ、わかりますとも、早くネビリム先生を蘇らせたいですものね!」
ディストは笑顔でジェイドに語りかけ、紙一杯に書かれ調書を見る。その手は僅かに振るえ、力を入れすぎて紙にしわが入った。
「ねぇ、ジェイド……この研究が進めば、ネビリム先生は蘇るんですよね。また、あのころに戻れるんですよね?」
ジェイドは答えることなく研究に没頭している。
ディストはしばらくジェイドの後姿を見つめていたが、やがて何かを振り切るようにジェイド同様研究を進めた。
滞ることなく動いていたジェイドの手が止まる。
彼の頭の中では目まぐるしく思考を繰り返している。
わずかに彼の唇が動く。
「あのサンプルを、取りに帰らないと」
「お?ジェイドはどうした」
グランコクマの玉座にどっかりと座るマルクト皇帝の言葉に、一行はどうしたものかと表情を曇らせる。
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ねむい
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