【TOD2】とりあえずエロ予定 – 1 –

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がんばるぞぉ~!

空が泣いている。相変わらずの空模様なダリルシェイドで、いつも晴天だったあの二対の青もこの空と同様ぎゃん泣きしていた。ぎゅぅ、と両側から抱きしめられて一向に離す気配のない二つの金髪にジューダスは途方に暮れる。
神を殺し歴史が修正されたこの世界に、彼は生きていた。気づいた時にはダリルシェイドの暗がりに呆然と立ち尽くしていた。そして偶然そこを通りかかったスタンとカイルに発見されたのだ。

「ジューダス、だよね」
「…あぁ」
「リオン…なんだな」
「カイルはわかるがお前は何でわかった」

仮面はない。だが衣服はジューダスの、あの黒い服だ。18年も経ったというのに

「ずっと、一度も忘れたことなかったから」

今も細い肩に顔を埋めながらスタンは鼻声でそう言って笑った。ジューダスは肩の重たさに深いため息つく。何か言おうとしたのだろう、口が開閉するが結局何の言葉も告げられることはなく、彼はのそのそと腕を上げて二つの金髪へと手を回し僅かにその身に寄せた。

その行動が余程スタンとカイルの心を打ったのか、結局あれから30分近く同じ格好のまま雨に打たれ続けていた。男三人で抱きしめあっていたとはいうものの、さすがに体も冷えてダリルシェイドの宿へと一度足を向けた。
ほぼ半崩壊している建物の中、かろうじて屋根と四方の壁を残すその場所はダリルシェイドでは宿として十分なものだ。だが、部屋は一つしかなく、そこに無理やり布団が並べられているような形だった。

「…リオン、あんまり居心地よくないだろ。ごめんな」
「慣れてる。今更だ」
「他にお客さんいないし、ゆっくりできそうだね」

カイルは努めて明るく言うと雨を含んで重たくなったズボンの裾を絞った。ピチャピチャと水が滴り落ちて頭を掻く。

「んー沢山お話していたいけど…先に着替えか何か買った方がいいかな。父さん、お金ある?」
「あぁ、適当なの頼むよ」
「無駄遣いしてルーティに怒られないのか?」
「仕方ないって、ルーティだってあの場にいたら同じようにしたと思う」
「……そうか」

スタンから金を受け取り、カイルは先ほどまで空気と化していた傘を持った。

「じゃ、父さん。俺行って来るから。仕方ないから譲ってあげる。仕方ないからだからね!」
「あははははっ…、ありがとな、カイル」
「すぐ帰ってくるからね、ジューダス!」

そう言うとカイルは走って出て行った。

「あのスピードではまた傘が意味を成さないだろうな」
「ははは、……リオン。聞きたいことは沢山あるけど、その前に言いたいことがあるよ」
「…ん」

スタンは立ち上がるとすぐさまジューダスとの距離を詰める。ジューダスは眼を瞑った。如何なる批判も暴力も受け入れる体制の彼を、スタンは再び強く抱きしめる。

「馬鹿やろう……。お前は、俺のこと馬鹿ばっか言うくせに、お前は俺より大馬鹿だ」
「……その言葉、甘んじて受けておく」
「皮肉だらけだ。…本当にリオンだ……リオンがいる」

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