ダイブ10読み直した。誤字というか誤文というかひど過ぎてわらたw
いつもブログへの拍手ありがとうございます。どの作品に対して拍手頂いているのかよくわかるからブログの拍手は結構嬉しいです!そして読んで頂いているんだなーって認識できるのがいいねっ
つまりは、10話誤字修正前に読んでくださった方すんませんでしたーーーーーーっ!!!!
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考えるまでもない。心の護は言っていた。ジューダスにとってナナリーと俺はあちらの町の住人。そしてジューダスはこの町の住人なんだ。
「ジューダス、お前こんなところで何してるんだ?」
「将軍が殺害されたからな。臭い動きをしている者を視ていた」
「何の為に?」
ジューダスは見た事がない暗い笑みを浮かべた。
その表情はこの町の住人としてあまりに相応しく、一瞬背筋が凍る。
「ロニ、お前この町に入った時、子供に話しかけなかったか」
「あ、あぁ……お前の居場所を聞こうと思って」
「あいつがお前を売った」
「は?」
「頭の悪そうな見慣れぬ人間が入ってきた。ジューダスという男を探している。という情報を売ったんだ。お前を陥れたやつにな。大層な情報ではなかったからあまり稼ぎにはならなかったようだがな」
嘘だろ……?あのまだ年端もいかぬ子供が、俺をこんなところまで陥れたきっかけだって……?笑えねえぞ、おい。
「は、はは……飴玉のひとつくらい礼でくれてやったらよかったな……」
「貴様はだからあちらの住人なんだ。恩を売ってもこの町では護身にならんぞ」
「…………」
絶句する。この町では、全てが敵なんだ。ありとあらゆる人間全てが敵なんだ。
助けてくれと叫べば誰かが手を差し伸べてくれる。哀れみ優しさに包み込んでくれる。どこに行ってもその気持ちは少なかろうが絶対潜んでいる。それが当たり前だと思っていた。
この世界では助けてくれと言えば絶好のスキと見て食い殺される。外道のみが集まった世界。
帰りたい。逃げ出したい。頭の中にその言葉だけが浮かび上がり始めた頃、カシャンと金属音がした。
顔を上げれば鉄格子が僅かに開いていた。目の前には無表情のまま立っているジューダスがいる。
「……ジューダス」
「さっさとあちらの町に戻ることだ」
そこには先ほどの暗い笑みを浮かべたジューダスなどいなかった。俺の知る仲間であるジューダスがいた。
この町の住人とはいえ、ジューダスは間違いなく情を持った人間だ。
「お前、そんなことして大丈夫なのか?」
「勘違いするな。貴様が逃げ出せばこちらにとって都合がいい。ただそれだけのことだ。運がよかったな。……いや、すでに悪かったか。不幸中の幸いというところだ」
再びあの暗い冷酷な表情に戻ったジューダスが俺を見下ろす。
……こいつも、あのおっさんみたいに組織ぐるみで何かをしているのか?
いや、別にいい。そんなのどうでもいい。それが事実とはいえ、先ほど見せた顔が、俺を仲間だと思っているからの行動なのだと表していた。
この誰もが敵だけの世界で、こいつだけは俺の仲間だ。
俺は開かれた鉄格子を開き、ジューダスの腕を掴んだ。
「一緒に逃げよう」
「……道がわからないのか?外に出れば門もすぐ見える。ここの兵士は警戒心が薄いからな。お前でも十分逃げれるだろう。階段を上がってすぐ右に…」
「そうじゃねぇ、お前この町に住んでるんだろう?一緒にあっちの町に行こう」
「あっちの、町に……?」
ジューダスはきょとんとした。頭が良く知識が無駄にある分、意表を突かれるとよくこんなかわいい顔を浮かべる。今まで考えても見なかったのだろうか。どう考えてもあちらの世界の方が生き易いだろうに、なんであちらの町に行かなかったんだ?たった門ひとつ潜れば、こんな腐った世界から抜け出すことができるというのに
「お前が誰と一緒に何やってんのか知らねぇけど、やめろ。で、一緒に逃げよう。お前あっちの町行ったことないのか?知らないのか?誰もが当たり前に支えあって生きる。あったけぇところだ。こんな、寒くてつれぇところじゃない。そこに行ければ、きっとお前も」
笑ってくれるようになる。そう言う前に、ジューダスは腕を振り払った。
「お前は馬鹿だな。ロニ」
更にジューダスが言葉を続けようとしたとき、足音が響くのが聞こえた。ジューダスが小さく舌打ちをする。
「貴様がとろとろしているから……もういい、着いて来い」
そう言ってジューダスは背を向け歩き出す。その姿は仮面の部分が白いとはいえすぐ闇に解けてしまいそうで俺は足音を殺しながら急いで後を追う。
牢屋のみの景色から少し変わったところで、何もない壁の一部をジューダスが手で押せば、その場に小さな抜け穴ができる。隠し通路か。ダリルシェイドといい、本当によくこんなもの知ってるな。いや、ここはコスモスフィアだからこいつの好きなようにできるのかもしんねぇけど
入り口を閉めて狭い地下の通路とも言い難い洞穴を歩く。後ろのほうで「脱走だ」などの怒声が聞こえる。
やがて辿り着いたのは、あの門の前だった。
「随分と便利な抜け道だこと」
「貴様のためにあるようなものだったな」
それだけ言って、さっさと町の中枢へ帰ろうとするジューダスを俺はまた捕まえた。
無言で振り向き、睨まれる。俺は何も言わずその目を見る。俺の気持ちはもう知っているだろう。
「……離せ」
「何で逃げねぇんだよ」
「まだわからないのか?此処は僕の住んでいる町。お前とは住む町が違う」
「だからあっちに行こうって」
「お前はこの町を寒いと言ったな。辛いと言ったな」
「ああ」
「僕はそう思っていない」
「は?何でだよ!」
間近で見るジューダスの目は冷え切っていた。
あの時の目だ。子供たちとこうやって遊ぶんだぞ、と振り返ったときに見た無機的な目。
「生まれたときからこの世界に生きているんだ。寒い?適温にしか感じないな。辛い?これが当たり前だろう。僕から言わせてもらえば、あちらの町は暑苦しく気味が悪い。この町から逃げる必要など僕にはない」
何だよ、それ……。それじゃ本当に、住んでいる世界が違う。
俺はペンギンに無理やりあったけぇから砂漠に来いよと言っているとでも言うのか
「……んなわけ、ねぇだろ」
「何が?」
「ホント、こんなのただの食わず嫌いじゃねぇか。人間はな、暑いとこでも寒いとこでも生きれるんだっつうの!大体ちょっとの環境の変化ですぐ根を上げてどうすんだよ!人間の適応力なめんなよ」
俺のわかりづらい例えの返しにジューダスは顔を顰める。
この町は外道の集まりだ。だがジューダスはそんなやつじゃない。こいつはこの町の住人なんかじゃない。
「お前はこっち側の人間なんだよ!いいから来い!」
ジューダスの腕を引っ張り力任せに扉へと引きずる。軽い体は簡単によろめいて思い通りにこちらへと一歩を踏み出した。だが、俺は目の前の門が前に見たのと違う姿をしているのに驚愕する。
門に、赤黒い鎖が絡んでいる。
空を覆っている鎖とはまた違う。少し錆付いた古く見える鎖だ。
「んだ、これ……」
ジューダスは何も言わずその鎖をじっと見ていた。その表情を俺はどう例えれば表現できるのかわからない。一番近いのは、諦めか。多分、きっとそれは、途方もない時間と労力をかけて、それでも抗うことのできなかった時の諦め、妥協、適わなかった願いへの悲しみ。
この鎖の正体を俺は知った。
この鎖が、生まれたときからジューダスをこの町に縛り付けたやつなんだ。
だが、一見禍々しいそれはただの錆付いた鎖。古すぎるそれは簡単に破壊できそうだ。
「ハッ、びびり損。さっさと千切って行こうぜ」
「ロニ、僕は……」
「こっちの住人だって?聞き飽きた。大体な、お前がこっちの住人なわけがねぇんだよ」
「何を、言っている」
「お前あっちの町のナナリーの記憶捏造してやがるけどよ、本当はナナリーはちゃんとお前のこと知ってるだろうが。カイルも、お前のこと仲間だってうるせぇだろうがよ。こんだけ長く一緒にいるのに、お前だけ違うところにいるだ?お前の方が馬鹿だっつの」
力任せに鎖を引っ張れば、簡単に鎖は崩れた。
「こっちの町になんてもう戻れねぇよ、お前。諦めてさっさと慣れちまえ」
門が開いた。俺は困惑一杯のジューダスの背を押し、無理やりあっちの町へと突き飛ばす。
門の向こうには光が溢れていた。俺も、この町へと戻った。
光が、俺たちをやさしく包んだ。
「うっわー。すっごい乱暴なパラダイムシフトー」
間延びした声に気づけば第一階層を終了したときと同じ世界にいた。
「あ、あれ?」
「パラダイムシフトしたんだよ。気づいてなかったの」
「気づかなかった……おいおい、今からがいいところだったってのによ!」
「いいところ、ねぇ」
随分と含みのある言い方をされた気がする。
「結構すさまじいことしてくれたよね」
「え?」
「まぁでも、町で散々な目にあった君に免じて様子を見てるとするよ」
凄まじいことって、ジューダスをあっちの町に連れ込んだことか?
俺は何かやらかしちまったのだろうか。だが心の護の反応は咎めるようなものではない。メリットデメリットどちらもあるからどう受け止めていいかわからないってところか。今後の俺の行動しだいなのかもしれない。
って、そういや町で散々な目って……
「そういや、てめぇ思いっきり逃げてやがったな」
「別に?普通に君の近くにいたけど」
「あ?最後の方なんて全然姿見せなかったじゃねぇか」
「君が気づかなかっただけでしょ」
そう、なのか?こんだけ発光してたら気づきそうなのだが。もしかしてそのときだけ姿が違ったのだろうか
しっかし、第一階層とは全く違う世界だった。いや、第一階層が異質だったのか?
曖昧とはいえ、ジューダスのことを色々知れた気がする。きっとあれは、あいつの過去の一部なんだ。
「あんな町、本当にあるのか」
「ま、多少はわかりやすいように誇大化されてたけどね。君の思いもしないような暗い部分なんて、いくらでもあるよ」
「そんな環境にあいつは居たんだな」
「…………」
答えないけど、絶対そうだと俺は確信してるからこの際いいとする。
この階層で、ジューダスがこの町を居心地が悪いと言った理由を知った。体感した。
俺が曇った町の方を寒い、気味が悪いとそう思ったように、ジューダスも思ったのだろう。
俺があの町での生き方を知らず、危うく処刑されかけたように、ジューダスもこっちの町での生き方がわからない。それだけなんだ。
「でも、今はもう違う。そうだよな」
「君が一応連れてっちゃったしね」
「それだけじゃねぇ。あの赤黒い鎖、簡単に消せたのは現実世界に既にこっちの町に来る障害がないからだろ」
「察しいいね。そうだね。物理的な障害はもうないよ。とりあえず今のところは、ね」
「………」
とりあえず、今のところは。物理的な障害は。か
色々含みまくってんな。ようは、そう簡単じゃねぇってことだ。けど
「護るぜ、ぜってぇな」
拳を突き出し、俺は護人に誓う。
「……そ。……視てるよ。それじゃ戻すね」
視界が白く染まった。
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ハァハァダイブ楽しい。でもどうしよう次の階層何も考えてないw
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