【TOD2】dive – 10 –

diveTOD2
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いつも寝る前に書いちゃうんだよね。



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違和感がありまくるなんてレベルじゃなかった。
このおっさんとジューダスが知り合い? 何か信じられねぇ。何でだろうか。

あぁ、わかった。
結構長い付き合いだけれど、この方ジューダスの知り合いを見たことがない。
家族も何も失っていると聞いた。でも本当に一切知り合いや友達の存在を匂わせたことがないのだ。そりゃそうか。そういう話は嫌がるからな。もし本当にこのおっさんがジューダスの知り合いだとしたら、色々ジューダスについて知れるのかもしれない。

そんな淡い期待を抱いてついていくのだが、どんどん入り組んだ道を歩くようになって少しずつ俺の中で警戒の鐘が鳴り出した。

「なぁ、おっさん?どこに向かってるんだ」

振り向いたおっさんは、会った当初の人の良い顔から一変し、ぐにゃりと欲に満ちた汚い表情へと変わった。
ジューダスの知り合い、ってのは嘘か。もし知ってたとしても親しい仲では絶対ないだろう。

住宅地が入り組んで建てられているこの近辺。隠れるところはいくらでもある。そこからわらわらと人相の悪い男が沸いて出てきた。

「……参ったな。都合よく斧なんて落ちてないしな。俺丸腰なんだけど」
「あちゃー。こりゃ君やばいかもね」

心の護が人事のように呟いてくれる。

「こんなかにジューダスいないぜ?おっさん」
「捉えろ」

軽口は全く通用しない。さすがにこの人数を丸腰は無理がある。
通路の狭さを利用して何とか逃げないと。後ろの気配を探りつつ、俺は一目散に走り出した。カッコ悪いなんて言ってらんねぇ。とりあえず逃げてバラけさせる。少しずつなら相手できるだろう。そして逃げ切るんだ。

だが、そんな俺の思惑は地の利を得ている相手には一切利かず、すぐに頭に走った衝撃で視界は黒く塗りつぶされた。

気づけば見知らぬ牢屋の中にいた。ダリルシェイドで捕まったときとは大違いの、正真正銘の牢屋だ。
ちくしょ、何でこんなことに。一体何が目的だ?つか、これは一体何を意味してるんだよ。
身包みを剥がされたわけではない。つか金目のものは一切持っていない。俺を捕まえて何の得になる?俺はこの世界のこと何も知らないっていうのに
そういえば心の護の姿が見えない。あいつ一人で逃げやがったか。

相変わらず肌寒い。牢屋の中だから特にそう感じる。鉄格子から冷気が噴出している気がした。
やがて牢屋の前に数人の兵士と貴族のような服を着た男が現れる。

「こいつか。かの将軍を殺害したというのは」
「間違いございません」

………はい?
一体何が始まるのかと思ったら、何だ、これは

「たんま。あんた何言ってるんだ?俺は突然ここの住人に襲われて気づいたらここにいたんだぞ!」
「何を言っている。将軍を殺したのは貴様だろう。証拠も十分だ。自分がどこで気絶していたか覚えていないのか」

嘲笑うような男の声。癇に障る。濡れ衣なんてレベルじゃねぇだろこれ。
証拠だ?どこで気絶していたかだ?知るかよそんなもん。

あまりに身に覚えのなさ過ぎる罪に思わず笑ってしまいそうだ。だが、頭の中の警告音が告げる。本当に笑えない事態だと

ここがどういう世界で成り立っているのかはわからない。だが情報を繋げて悟った現状とその裏。
誰かが将軍とやらを殺した。その誰かの罪を、丁度初めてこの町に踏み入れた俺になしりつけたんだ。しかも組織ぐるみだ。あのおっさんはどこに行きやがった。怒りで頭が真っ白になる。

「ふざけんな!おい、あのおっさんはどこ行った!?とっ捕まえんのはあっちの方だろ!」
「何を言っている。残り僅かな余命、せいぜい後悔して生きよ」
「おい、待てよ!おい!」

すぐに男たちは牢屋の前からいなくなり、薄暗い世界が戻ってきた。
何なんだよ、これ……。
唖然とするしかない。現実世界ではないというその事実が何とか壊れてしまいそうな理性を繋ぎとめていた。
何か、もう、どんだけきたねぇんだよこの町。
スリとか、追剥くらいなら覚悟していた。多少の身の危険もあるとは思ってたけど、ここまで大きな変なもんに巻き込まれるとか覚悟の上を行きすぎだろう。
頭を抱え、ガシガシと掻く。苛立ちと焦りから気持ち悪くなった肺の空気を吐き出すように低く唸った。

「何をしているんだ、お前は」

無音の牢屋の中、よく通る声が響いた。聞きなれた声だ。バッと顔を上げる。
そこには思ったとおりの人物。ジューダスが鉄格子の向こうにいた。

「ジューダス!?」
「何でこの町にいる?」
「お前を……探しに、な」

その結果この無様な姿だ。少し居た堪れなくて顔を顰めながらも無理やり口を歪めて笑う。
ジューダスはそんな俺をいつもの呆れた表情で見下ろした。

「馬鹿が。死刑は明日だそうだぞ?」
「俺は何も……っ」
「それくらい知っている。体良く身代わりにされたようだな。ご愁傷様」

クツクツとジューダスは笑った。いつものジューダスの貶しだ。いつもどおりの
それが、ジューダスにとってこの異常事態が普通にあり得る世界だと言っているかのようだった。

「ジューダス、お前は……」

本当に、こんな世界を生きたことがあるのか?
現実にこんなことがあり得るのだろうか。あり得たのだろうか。

ジューダスは人を信用しきらない。ノイシュタットの出来事が特にそうだった気がする。宝をもってこいだとかそんな話をカイルを煽てて薦められた時のことだ。その目は冷酷だった。俺だって警戒はしてたが、それを更に上回る冷たい目だった。

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ジューダス出るまでをものすごく適当に書くのはいつもの内緒くおりてぃ

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