Lv2ダイブ後 リアルにて
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いつの間にか景色は現実世界、ナナリーに借りた部屋に変わっていた。
未だ繋がる右手の温もりを追えば、前と同様ジューダスがどこかぼーっとしている。
ダイブしている側よりされている側のほうが現実に戻るのに時間がかかるのかもしれない。
「ジューダス」
呼べば何度か瞬きをした後、仮面の下から睨まれる。手もすぐに離された。
「……気は済んだのか」
またも俺はダイブした動機が何だったのか忘れる。コスモスフィアが現実世界の事情お構いなしな世界を繰り広げているせいだから仕方ない。えっと、何となくコスモスフィアに異変が起きてる気がしたから来たんだっけ?後なんか恥ずかしい理由をつらつら並べた気がする。……思い出したくねぇなこれ。
「とりあえず、そこまで大きな変化はなかった」
「……そうか」
「あぁ……」
「…………」
…………気まずいっ!
そうだよ、そうなんだよ。俺思いっきりこいつに告白しちまったんだったよ!
コスモスフィアでは何食わぬ顔して出てきやがった癖に、こっちではついさっきの出来事で見事に反映されてるわけな!コスモスフィアではそんなちっぽけなことで、って言われたのによぉ!!
「お前はどうなんだよ、何か変化とか感じねぇの?」
「……何だろうな、お前に振り回されることに虚脱と諦めによる許容が生じたようだ」
「んだと!?」
いつもの皮肉たっぷりな言い方に条件反射でいきり立つが、……待てよ?
「え、許容って、お前俺の告白受けるってことかそれ!」
「誰がそこまで言った!?」
「え、ちげぇの!?」
「違う!」
「……そっか……そうだよなぁ……」
あれ、何だろう。今すっげー落ち込んでる。ナンパ失敗数は何百に上る俺もここまで落ち込んだのは久しい気がする。
「な、何落ち込んでるんだ。気持ち悪い」
「あ、わりぃわりぃ」
軽く引かれた。でもちょっと焦ってるようにも見える。これもまた初めて見る表情かもしれない。
告白はとりあえず華麗にスルーされているとして、それでも俺を仲間という枠から放り投げるまでにはいっていないようで安心した。へらへら笑って珍しく俺が謝罪を口にすればジューダスはふいと顔を背けてしまう。
それにしても、あのコスモスフィアでの出来事でジューダスの中の何かは変わったのだろうか。
何より、俺はジューダスの過去を垣間見た。この町に中々馴染めない、馴染もうともしなかったその理由がわかった。そして俺はあの世界でこいつを無理やり押し出した。
「で、ジューダスさんは結局子守はいやですかね?」
気まずい空気を何とか四散させたく、わざと皮肉気に聞いてみる。
「適材適所」
「……へいへい」
そう簡単には変わらない、か。
だけど、いつかこっちの町に馴染んでくれるといい。さっさと適応してくれるといい。あの凍えるような寒さを忘れ去って温もりの中にゆっくり身を置けるようになればいい。
「ロニ、ジューダス、もういいかい?また子供たち見てて欲しいんだけど」
部屋の外からナナリーの声がかかる。俺が応えると直ぐに子供たちが部屋に押し込まれた。
先ほどのことなど忘れて自分勝手にはしゃぎはじめる餓鬼共には感嘆するしかない。
一人の少年がジューダスの前に立つ。
「なージューダス。お前約束破るのはずるいぞ!」
「…………僕が破ったわけじゃない。僕は約束なんてしてない、批難するならお前を騙したそこの馬鹿に言え」
「ロニー!」
「どわっ!」
途端子供たちが寄ってたかって俺の上に飛び掛ってくる。待て、これ洒落にならねぇ、圧死するって!
「ねぇ、ジューダスは嘘に使われた腹いせしないのー?」
少女が無垢な瞳でえげつない発言をする。一方、それは一緒に遊ぼうよという誘いだった。
砂漠に囲まれた町の一室で密着し暴れまわる塊を一瞥したジューダスはたった一言告げる。
「暑苦しい」
その言葉がコスモスフィアを見てきた俺には引っかかって子供たちの隙間からジューダスの顔を覗き見る。
そこにあの無機的な瞳はなかった。こっちの世界を切り離して見ていた姿はなく、この暑苦しい世界に巻き込まれている事実を嫌そうに見下ろしていた。
無性に嬉しくなって、思わず笑い出して、それをひた隠すように餓鬼共と遊び倒した。
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後付で思い至ったのですが、
この無機的な目ってやつはカイル達にはなかった感じ。多分そんなのする前に叔父精神がでちゃったんだねww
今回は特別、孤児院とか弟の死だとかでルーティを思い出させる話が出たからジュダ君ナイーブになってたんだよ可哀想に。そんなホープタウンを妄想して萌えるのが楽しいハァハァ
そしてどんどんロニがジューダス馬鹿になっていく。ロニとジューダスは原作では互いにツンデレなのにロニジュとするとロニがデレデレ・ジューダスツンツン なイメージ。 ロニェ……。
どっちのイメージでも大好きだよロニジュ。
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