【TOD2】死人に縁ナシ – 4 –

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5で終わりますね。短編だけど時間かかっちゃった。
散り行き帰るは の修正1話がもうすぐ出来るってところで放置されているのを発掘してきたのですが、一年前くらいの物っぽくて続きどう書こうとしてたのか全く思い出せないです。あ、つまりそれくらい1話が前の原型留めてないですw



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「ハロルド、どうしたの?」
「べっつに~」

壮大にため息を吐いたハロルドを見てリアラが声をかけるが、ハロルドは姿勢を崩し椅子の背もたれに顎を乗せて呆けて見せる。
ガタンと大きな音が立ち、ハロルドとリアラが自然とそちらへ視線を向ける。ロニがジューダスの腕を無理やり引っ張り立ち上がらせたところだった。

「おい、僕を巻き込むな」
「いいじゃねえかよ、ちょっとくらいよ」
「ナンパくらい一人で出来ないのか貴様は」
「俺はあれなんだよ、出会いがわざとらし過ぎるからいけねぇんだな、きっと。だから自然な出会い、あっちから近づいてもらえばいいんだよ。で、偶然居合わせた俺のほうにお嬢さんは目が眩む。どうよ?」
「どうよじゃない!僕を巻き込むなと言っているだろう!」

ロニは青筋を立てて怒るジューダスをお構いなしに引きずるように部屋を出る。よほどこのプランが気に入ったようだ。
カイルとナナリーが顔を見合わせ、軽く噴出しながら面白そうと声を掛け合い二人の後を追い始める。

「ハロルドとリアラも一緒に行こうよ」
「行く行く!」
「そうね~」

ロニをモテモテに改造する計画のほうに着手するか、とハロルドは腰を上げた。

ハロルドが宿から出たときには既にロニとジューダスは女性に囲まれていた。どこで出待ちしていたのやら、黄色い歓声が上がっている。ジューダスだけが一人通夜でもしているかのように肩が下がっている状況だ。
ロニはにやにやしながらジューダスを出汁に声をかけてくる女性と応対している。これからどこか皆で食事にでも、なんてちゃっかり漕ぎ着け始めたところで突如場に不釣り合いな声が轟いた。

「おいおい、てめぇらこの町の人間でもねぇのに何好き放題してやがんだよ」

女性の短い悲鳴の後、彼女らを押しのけガタイのいい男たちが5人現れた。
不穏な空気が流れる中、ジューダスはほんの僅かに目を細めただけで完全にシカトを決め込んだ。ロニは余裕な表情を浮かべて彼らと対峙する。

「お~?なぁに兄ちゃん達、俺はそういう趣味はないから悪いけど帰ってくれる?」
「なめてんのかてめぇ」
「いやぁ~嫉妬させちまって悪いねぇ俺の色気は罪なもんで」
「馬鹿かお前。お前なんか眼中にねぇんだよ、それよりそっちのヤサ男だ。気味わりぃ仮面被って何してんだあ、あぁ?」

突如現れた男たちの態度が気に食わないのだろう。後ろで指を鳴らしていたナナリーだが、ロニへの酷い扱いに思わず噴出した。それはロニだと面倒に発展する可能性もあるがジューダスならば簡単に往なすだろう安心もあってだ。
町の女性たちはすっかり安全な場所まで避難して様子を伺っている。
そして当のジューダスはというと、

「元はと言えばお前が起こした問題だ。お前が何とかしろ」

と小声でロニに言い残し、身を眩ませようと一人宿とは別方向に歩みを向けているところだった。

「てめ、何シカトこいてんだよ!なめやがって」
「怖気づいて逃げんのか?その不気味な仮面の下にいい面持ってるんじゃねえのかよ?俺たちにも見せてみ?ん?」
「ま、どんな面だろうとすぐにボコボコにしてやっけどな」

ゲラゲラゲラと下品な笑い声を上げる男達。絵に描いたようなごろつきの様にハロルドは呆れ返った。ロニが彼らを煽るように笑い声を上げる。

「やめとけやめとけ、こいつ手加減知らねぇからよ。手出したら剣抜かれても何も言えねぇぜ?」
「は?剣が何だ、こちとら荒事には慣れてんだよ」
「そりゃいらねぇ心配デシタ」

ロニが笑いを堪えながら言う。その間もジューダスは歩みを進めていた。男達が舌打ちをして回り込む。

「おいコラ、なめた態度とりやがって覚悟しろよ」

男がジューダスの細い肩に手をかけようとしたが、ジューダスはそれを最小限の動きで避けた。そのまま男の横を通ろうと一歩横に足を出したときだ。金色の物体が石造りの道路にキン、と音を立てて落ちた。

ロニ改造研究のモデルにジューダスを、と彼を見ていたハロルドの目が変わる。ジューダスの表情の変化に瞬時に反応した。それはハロルドが初めてみるジューダスの顔だった。目が丸くなり表情に焦りが入る。
細長い金色のイヤリング。それは男の足元に落ちている。ジューダスが手を伸ばす前に、男がそれを踏みつけた。

「へぇ、よさそうなもん持ってんじゃねぇか」

焦りからなのか、どこかジューダスの動きにいつものキレがない。よほど大切な物なのか。あのジューダスが?ハロルドの好奇心がふつふつと膨らむ。その光景に惹きつけられ瞬きもしない。
ジューダスが屈みかけた体勢を立て直す前に男の足が僅かに動く。石と石の間の僅かな隙間にイヤリングを滑らせた。梃子を使うつもりなのだ。男は巨体、体重は十分ある。

パキンと、小さな音がした。

ハロルドはゾクゾクゾク、と背筋を這い上がる寒気に小さく飛び上がった。それでも目の前の光景から決して視線を外さない。
突然黒い線が横へと引かれる。同時にイヤリングを踏みつけていた男は後ろへ僅かに吹き飛ばされドスンと音を立てて尻餅をつく。仲間の男達は何が起きたのか理解できずその場に突っ立っているだけだ。

男が倒れたことでイヤリングが現れた。
……割れている。

思わずハロルドは自分の短剣を握った。敵が現れたわけじゃない。無意識にそうしてしまう程の殺気が湧き上がったのだ。
その持ち主はやはりジューダスで、驚くことに彼は何の躊躇いもなく剣を抜いた。これにはカイル達も目を丸くした。

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あふん時間切れ。
イヤリングは天秤に出てくるアレです。ってまだ天秤に出てきてナイネ!

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