大佐熱終わったんだけどね。
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その時だった。
ドォン、と地を揺らすような衝撃がグランコクマに響いた。
先ほどまで幼馴染の話題に飄々としていたピオニーの表情が一転し、場は緊張に見舞われた。
今この時期に、一体どこからの攻撃か。兵士たちの鎧の擦れる音と重い足音があちこちから響いてくる。
ピオニーが言葉短く、しかし的確に指示を飛ばす。
ルーク達も攻撃を受けたと思われる場へ足を向けようとしたが、場が混乱している今は待てと窘められた。
だがそれも、先程話題に上がった人の名が出れば意味を成さなくなった。
「その、カーティス大佐が譜術でロックのかかった扉を吹き飛ばしたという報告が……」
「誤報だろう。下らん報せを振りまくな。大方侵入者を攻撃しようとしたとこを間違えられたとかそんなオチじゃねぇのか」
「陛下、それが……」
表情を険しくするルーク達。全く知らせを鵜呑みにしないピオニー。
顔色が悪くなってきた兵士の後ろから更に血相を変えた兵士が現れる。
内容は、現在ジェイド・カーティス大佐と交戦中といったものだった。
「陛下!ご自重ください!」
「うるさい、どけ」
知らせを聞いて即玉座から飛び降りるように歩き出したピオニーは静止の声を無理やり押しのけ進む。
ルーク達も同時に駆け出した。
鉄が焼けた匂いと蒸し暑さがそこに広がっていた。
「資料庫か……」
ピオニーが顔をしかめた。
突如現れた王の姿に兵士たちが混乱するのに構わず、ピオニーは更に前へと歩く。
慌ててルークたちはその横について進んだ。
「ジェイド、何してんだ」
そこに、本当に彼はいた。
恐らくこの場から持ち出したろう何かを布に包み抱えている。
ピオニーが現れたというのに、やはりジェイドはそちらに関心を示さない。
薄い唇が僅かに動いているのに、ピオニーは目を細めた。
何か言っているのかと、聞き取れないそれに足を一歩進めた瞬間、ジェイドの足元に譜陣が広がる。
「陛下!お下がりください!!!」
「カーティス大佐!!!」
「ジェイド!」
至る所から大声が張り上げられる中、死霊使いと恐れられる彼の強力な譜術が天井を突き破る。
ドコドコと崩れた屋根が瓦礫となって振ってくるのに後退するしかない兵士たち。それを前に、ジェイドは悠々と手の中の布を外して、それを色々な角度から観察する。
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ねむねむ
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