続き続き
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「ジューダス……。」
一先ず、ほっとした。
こいつが変わらずそこにいたことに。
「ジューダス、見つけたぜ……その鎖を壊す方法」
呆然と振り向いたジューダスの瞳に希望の色が映ることはない。
でも、それでも俺には、たとえこいつが信じようが信じまいが、あの人ならば絶対に鎖を壊せると思うんだ。
俺はスタンさんにしてもらったと同じように、ジューダスの肩にぽんと手を置いた。
ジューダスは俺の手を不思議そうに見ている。
「信じられねぇか?」
「………どこからその自信が湧くのかが、不思議だ」
「俺もちょっと不思議だわ。でも、絶対あの人なら、壊せる。なんてったって英雄だからな」
ぴくりと、薄い肩が反応した。
仮面の下で目が見開かれたような、気がした。
ジューダスは再び大きな門を仰ぎ見る。
その瞳が小刻みに揺れている気がした。
俺の言葉の何に反応したのやら、英雄か?
多分、こいつは今、初めてあの鎖を壊せる可能性を見出した。
イケる。きっと、この鎖を壊せる。あいつをあっちへと帰すことができる。
俺は来た道を振り返った。スタンさんはまだ来ない。
俺のよく知るクレスタの町が広がっている。
カイルが、ジューダスのことを知らないと言い切った世界が、広がっている。
「ジューダス!」
俺の叫び声でジューダスは驚いた様にこちらを振り返った。
「なぁ、あっちに戻ってもよ、またたまにはこっちに顔見せにきてくれよな」
「………え?」
「何度も言うけど、俺はあっちの町にいようが、俺は変わらずお前のこと仲間だと思ってる。なんら変わらない。だから、いつだってまたここに」
「……ロニ……」
いつまでたっても肯定の反応をしないジューダスに、俺の不安は煽られていく。
「……無かったことになんか、なんねぇよな?……なぁ、ジューダス」
「……………」
再びカイルの記憶からジューダスの存在が無くなったこの世界に不安ばかりが募る。
意味がわからなかった。何が原因だ、と考えれば、こいつをあちらの町に帰そうとしていること。それくらいしか思いつかない。はたまた、こいつがこの町で居続けることを肯定してやれなかったから……なのか?
「どちらか、しか」
思考に陥っていた俺の耳に、小さな声が届く。
「どちらかしか、選べない」
仮面の下からこちらを見つめる瞳は、あまりに冷たく強かった。
俺には全く理解できない不条理の中を生き抜いてきた目。
「な……んでっ!!」
理解、できるわけがない。納得も当然、できるわけがない。
なんでそうなる、なんでそうなってる!?この世界は、こいつの世界は、一体どうなって!
「ロニ」
ドクン、と世界が波打ったような振動が、体全体に伝わった。
「これか?言ってた、門と鎖っていうの。こんなの町にいつの間にできたんだ?」
金色の髪をゆらりと揺らめかせながらゆっくりとその人はこちらへと歩み寄ってくる。
「スタンさ……」
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