【TOD2】 dive 続き – 01 –

diveTOD2
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第四階層の妄想は思いついたとき結構滾ったんです。
だから、俺は、書くぞ、この、欲求を、満たす、タメニィイイイイイイイイ!!!!!!!
※ブログに書いていたdiveの続きではなく、NOVEL上に上げているdiveの続きとして書きます。
あ、あと一つ注意点です。大事なお話です。
この階層あたりから少しずつキャラクターが崩壊しているように感じる場面が多々出てくるかと思います。
コスモスフィアの設定上、精神世界に出てくる人物の言動は、ジューダスがその人に対して抱いた印象と、ジューダスの想いから作られた世界観にあわせるように本来とは捻じ曲げられたりするからです。
ジューダス自身も えぇ!こんなことしちゃうの! ってことがあるかもしれません。(第七階層、第八階層要注意)
ぶっちゃけネタバレするとカイル達がジューダスを悪人だと責め立てたり(第四階層)、リアラがエルレイン側の思考になったり(第五階層)、リオンがロニを殺そうとしたり(第七階層)する予定です。(反転)
苦手な人は逃げてぇええ超逃げてぇえええ


俺達は相変わらず波乱万丈の旅をしていた。落ちていく飛行竜から危機一髪脱出したと思ったら謎の歪みに飲み込まれかけ、気づけば異世界といっても過言ではない場所に来ているのである。
そして空には、現代ではあり得ないはずのダイクロフトが浮かんでいるのだ。
空が真っ暗になる感覚、こちらに切っ先を向けるベルクラント、空に浮かぶダイクロフト。
遠い記憶ながらも、その光景ははっきりと俺の中に残っていた。あの切っ先から放たれる光線も、それにより打ち砕かれる地上も、巻き上げられる大地も。そして、当時の俺から全てを奪った、落ちてくる外郭も。
あまりに恐ろしい、破壊の象徴だった。
本当に、あれが浮いてるのは、気に喰わねぇ。ドーム越しに空に浮く黒い塊を睨みつける。あぁ……いけねぇ、あんまり昔のことを思い出してダイクロフトを見るのはやめよう。またナナリーやカイルに気を使わせちまうな。その度に関節技喰らうのもごめんだしな。
今はこの世界に来て初めて見つけたドームの町に居座っている。宿という施設自体が存在しないようで、癪ではあるがフォルトルナ神団に休めるところはないかと聞けば空き家を提供された。この町では家すら神が用意し、提供してくれるそうだ。
「あれ、寝室四つしかないよ?気が利かないねぇ!」
借りた家を見回っていたナナリーがぼやく。なんともまぁ、都合がいいことだ。
「お前とナナリーはとりあえず一部屋ずつ使えよ。さすがに疲れただろ。さっさと休もうぜ」
「あら、珍しく気が利くじゃないさ。頭でも打ってたかい?」
「ほっとけ」
「お言葉に甘えるよ。さすがに今回は疲れた。ねぇ、リアラ」
「うん……」
女性二人が部屋を入っていくのを見送ってすぐに「俺達はどうしよう?」とカイルが言う。
「カイル、お前一部屋使え。俺とジューダスは二人で使うからよ」
「え」
カイルが目を丸くした。そりゃそうだろう。普通であれば兄弟である俺とカイルが相部屋となり、ひとりが好きなジューダスに部屋を使わせるのが順当だ。ジューダスは目だけで「何故だ」と言って来ている。
「そりゃあ、お前、知識豊富なジューダスと、年長者の俺とでこの摩訶不思議な世界を旅するにあたって色々考えないといけないことがあるだろうが」
「そっか!俺も手伝うよ!」
「バーカ、お前が居るとややこしくなるんだよ」
「ひでぇ!」
「ほら、お前もさっさと寝ちまえ」
カイルのぼさぼさ頭をぐりぐりと撫で回し、部屋の方へとぽんと押し出してやる。
「二人もあんまり無理すんなよ!おやすみ、ロニ、ジューダス」
カイルは一度だけ振り返って言うと、部屋に入っていった。
「さて、俺らもとりあえず部屋に入ろうぜ」
「……別に、特に今考えるべきことなど無いと思うのだがな」
「まぁまぁ、とりあえずよ」
旅の荷物を背負い、残った部屋へと入る。他の三つの部屋より大きめとはいえ、ベッドは一つしかない。ソファーがあるから、俺はこっちで寝るとするかな。
ジューダスもそんなに間を置かず部屋に入り、腰の剣を鞘ごと抜いて壁に立てかけた。俺はソファーに座る。
「ベッドはお前が使えよ。さすがに疲れただろ」
「疲れているのは皆、同じだ」
「でも、お前あの飛行艇の操縦とかもあったし、いつもよりは気も張ったんじゃねぇか?」
俺の言葉にジューダスは一瞥だけすると、ぽすん、とベッドに座った。こいつが俺の言うことに素直だと少し嬉しい。
「話したいことというのはそれか」
「ん?」
「イクシフォスラーのことを何故知っているか、気にしていただろう」
「んー……まぁな」
隠されているものは暴きたくなる。こいつの正体も、いまだ気になるといえば気になるのだ。こいつを危険視しているからではなく、さっさとこいつを受け入れたい気持ちが強いから。
ただ、第三階層からコイツに対して得も知れぬ恐怖も実際に沸いている。やはり、スタンさんとルーティさんを知っている件についてだった。どうすれば、上手く聞きだせるだろうか。
「しっかしお前、ダイクロフトまで分かるんだなぁ」
「……ハイデルベルグの資料館は良く出来ている」
「あぁ。あそこに載ってたのか。お前よく本読んでるもんな。その仮面つけてて読みづらくねぇの?俺何もなくても文字がびしーって並んでるの見てたら目が痛くなりそうだ」
「お前も少しは本を読んだ方がいい……」
呆れが混じった言葉の続きがなく、思わぬ沈黙の間が空いた。……あれ?会話終了か?ここで強烈な皮肉の一発や二発は来ると思ったのに。やはり、こいつもあの怒涛の展開には疲れているのかもしれない。
「……ロニ」
「うん?」
名を呼ばれ、ジューダスを見る。ソファはベッドの真正面に位置しているが、ベッドの側面に座って俯いている為、表情はわからなかった。
「……」
名を呼んだきり、ジューダスは何も言わない。
「どうしたんだよ」
何か話すことがあって名を呼んだのだろうに。話すことを躊躇っているのだろうか。
「ジューダス?」
「……ダイブを、するか?」
俺は目を瞠った。自分の耳を疑った。こいつが自らダイブを提案してくるなんて。
「……知りたいのだろう」
「……あぁ」
教えてくれるって言うのなら、今この場で喋ってくれてもいいんだけど、とは思ったが、口には出せなかった。先ほどの長い沈黙は、話してもいいという思いとそれでも隠したい思いが鬩ぎあったものではないかと思ったからだ。こいつも、ダイブという力に縋ったんだ。俺と同じように。

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