本番までたどり着いてないけれど割と妄想進んでるからぶちこむ。
僕は今、非常に困っている。と、いうのも。
「ダメだ! ジューダス! 俺に近づくな!」
この通り、何故かロニが僕を拒絶しているからだ。
コスモスフィアに入った途端、細長い布のような紐がいたるところに張られ、僕の行く手を阻んできた。ただ通り道を塞がれるだけで危害は一切加えられはしないのだが、ロニが目に見える範囲にいながら、その近くへ寄ることが一切できない。そして当の本人からは拒絶の言葉を向けられる。
正直、少し傷ついている。
「……何でだ、ロニ。理由を話せ」
「お前は、俺に近づいちゃだめなんだよ! いいから!」
理由すらも話してくれず、ロニはただただ僕に近寄るなと言う。
それでも、この世界は僕を排除しようとはしない。当のロニも近寄るなといいながらもこれ以上遠ざけることはしなかった。僕に向けられる表情は険しいが、嫌悪などは感じられない。ただ困っているような、何かを必死に我慢しているように見えて、とても放っておく気にはなれなかった。
僕は不満の色を宿した目でじっとロニを見つめた。その視線を一瞥し、すぐにそっぽを向いてロニは言う。
「ジューダス、俺のコスモスフィアに来てくれたのは嬉しいよ。でも、悪いけど、戻ってくれないか。お前は俺に近づいちゃダメなんだ」
「嫌だ」
少し、苛立ってきた。
「何でだ、ロニ。今までずっとお前から近づいてきたくせに、僕から近寄ったら逃げるとはどういう了見だ」
あれだけずかずかと押し入っておきながら、今更離れるなんて自分勝手にもほどがある!
思わず睨む目に力が篭る。だが、それに反発するようにロニは声を荒げた。
「うるせぇな!!! いいから!! 放っておいてくれよ!」
そうして、脱兎のごとく駆け出し、近くにある古ぼけた小屋の中へ飛び込み、内側から鍵をかける音までした。同時に、僕の堪忍袋の尾が切れた。
コスモスフィアで何かを破壊するのは危険だという話だが、何、このくらい平気だろう、多分。それだけ拒絶したい想いが強いのなら、きっと弾くはずだ。
腰の剣を抜き、一閃。もう一閃。スパンと切れた扉がへろへろと開閉されるのを見て僕は満足して剣を鞘へ戻す。
強引な惜しい入りに、小屋の中のロニが目を大きく見開いた。
「おま……」
何を驚くことがあるのだろう。僕はにやりと笑って見せた。ぼろ小屋の扉を避けながら、中へと入る。
「なんとなくわかるぞ、ロニ。お前だってこうやって、いつも僕を離さなかったんだ。そうやって僕を求め続けてくれた」
最初はとても億劫で、鬱陶しく思っていた。だが、その結果、僕は救われたのだ。
「だったら、僕だって……」
僕のコスモスフィアがどれだけ大変だったかは知らない。ただ、僕はロニをたくさん拒絶したはずだ。それでも、ロニはずっと手を伸ばしてくれた。僕がどれだけそのことに救われたか、ロニはちゃんと理解しているのだろうか。
今更、何を恐れる必要があるというのだ。ロニが僕を受け入れてくれたように、僕だってロニを受け入れてみせる。たとえ心の奥底に僕への憎しみが消えずに残っていようとも、僕はそれを受け入れて尚、お前と共に生きる覚悟を決めているというのに。
一度目を瞑り、心の中でそう、強く思う。決意を宿して目を開き、この思いを伝えようと一歩足を踏み出したとき、ロニが俯き、僅かに震えていることに気づいた。
「ロニ?」
どうしたのだろう。そう問おうとしたときだ。
今まで行く手を塞ぐだけだった長い布が、一気に僕に襲い掛かってきた。
「なっ」
それは突然のことで、それも四方八方から一気に来たものだから、剣を抜くまもなく右腕を封じられ、左腕にも巻きつき、両足にも巻きつき、一切身動きができぬようその場に縛り上げられてしまった。
腕に力を入れて引いてみるも、どこから伸びてきているのかわからない布は引きちぎれる様子もない。
そのままぐいぐいと上へ引っ張られ、足が浮いた。
少し焦ったが、布の感触は柔らかく、紐のように擦れて肌が痛むこともない。入ったときから思っていたが、随分と優しい拒絶だ。少しでも僕の体が傷つく可能性を排除するような拘束。
とはいえ、こうやって縛り上げられてしまったのだから、強引に踏み入りすぎたのかもしれない。そっとロニの機嫌を伺い見る。ロニは顔を伏せながらゆっくりと立ち上がった。
「お前が悪いんだぞ、ジューダス」
咎める言葉に少し不安を煽られる。
「ロニ……?」
「俺は、ちゃんと警告したよな。近づいちゃダメだって。それでも近づいてきたお前が、悪いんだ。そうだろ?」
今まで逃げてばかりいたはずのロニが、自ら歩み寄ってくる。やっとロニが顔を上げたかと思えば、その顔は何かに追い詰められたような余裕のなさを感じさせた。
「ロニ、一体どうしたというんだ」
言ってくれないと、わからない。僕はどうすればお前の為に……。
布に持ち上げられて同じ高さにある目をじっと見る。銀の瞳から答えは得られぬままだ。
ロニは僕の目の前までくると、僕の肩に手をかけ、一気に距離をつめた。
「逃がさねぇからな、ジューダス」
どういう意味か問う前に、唇を塞がれる。まさか突然キスされるとも思わず、唖然としていたら、口内へぬる、とした感触。
「んっ!」
今まで触れるような口付けは何度もした。親愛を深く感じる、やさしい口付け。だが、これは、こんなのは、初めてだった。口の中が、熱い。頭が、熱い。
思わず逃げ打つ舌を絡められ、口内の全てを舌で愛撫されるかのような感覚。飲み込みきれない唾液が口の端を伝うのを目を細めて感じることしかできない。
「んっ、ふ、ぅ……」
息が、できない。
苦しさから生理的な涙があふれそうになった頃、ようやく口が開放され荒く息をつく。
脳に酸素が回ってない。思考が、回らない。
「ジューダス……」
頬に暖かい感覚。ロニの手が添えられている。
「ロ、ニ……?」
「ずっと、こうしたかったんだ」
呆然と、ロニを見る。
ロニの頬もまた薄っすらと赤く色づき、銀の目には欲情の色がありありと出ていた。
ドクドクと、心臓の音が早まる。
「ジューダス、逃げれねぇからな」
必死に食欲我慢してた猛獣に自分から飛び込むジューダスちゃんかわかわ
この後めちゃくちゃせkk
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