【NARUTO】光 – 02 –

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眠いので半端でポイッ
あれー予想以上に長くなってる気がするよ。。。

サスケが瞼を持ち上げれば、そこはうちはの集落でも木の葉の里でもなかった。
終末の谷。忍連合軍と、暁――うちはがぶつかり合うことになった場所。

――何が、起きた?

サスケはその場所に倒れ伏していた。
あたりは随分サスケの記憶と違った地形へと変形している。それも、サスケの周りで特に。
先ほどまで、この場でナルトと戦っていたはずだ。

「ナルト……」

サスケは自分の二本の指を見る。
先ほどまで繋がっていた片割れ、どこに、行った?

死闘を繰り広げていた相手を、戦う理由もないのに当たり前のように探した。
それに答えるようにあがった咆哮。
何故か力の入らない体を無理やり動かせば、そこには禍々しいチャクラにまみれた九尾がいた。その中に、悶え苦しむナルトの姿があった。

その禍々しいチャクラにサスケは覚えがあった。ずっと自分が身に纏ってきたはずのものだからだ。

――それが、なんでナルトに……

サスケは上体を起こすため、必死に腕に力を込める。だがやはり力がうまく入らない。
もしかして、チャクラを失ったのか。そう思ったが己の中に流れる力の存在を確かに感じ取れた。慣れ親しんだものと大分違って感じるそれに、どこか懐かしさを覚えた。

「ナルトォ!」

サクラの声が聞こえる。再びナルトが吼える。

ようやくサスケは理解した。あれは九尾のチャクラだったのか
先ほどまで夢のように見ていたあの世界。突然晴れた濃い闇の世界。
ナルトが、あの闇を代わりに喰らったのか

ダン!

サスケは自由にならないはずの体を無理やり動かし、手で地を強く叩いた。そのまま体を持ち上げた。軋みあげる体など全く気にせず、上体を起こし、足を奮い立たせる。
めちゃくちゃにかき乱されたチャクラの流れを無視して無理やりチャクラを練って引き出した。

サスケの目が赤く染まり、三つ巴が浮かび上がる。

多くの木の葉の忍が心配そうにナルトを見ている。
助けたくても手が出せないのだろう。
代わりに、サスケが一歩足を踏み出す。

それにしても、あいつはいつの間にか、こんなにも多くの人間に認められるようになっていたんだな。
だというのに、俺なんかの為に変なもん喰いやがって。だからお前はいつまでたっても、ウスラトンカチのドベなんだ。

サスケはそう思いながらも破顔した。

本来、尾獣を抜かれれば宿主は死ぬ。サスケが今こうして生きて立っているのはたとえナルトが何かしらの策を講じていたとしても奇跡としか言いようがないだろう。
それでもサスケが負った傷は重く、無理してチャクラを奮い立たせればこの先どうなるかわからなかった。

それでも構わなかった。

「ナルト」

暴れ狂う九尾のチャクラは近づくだけで毒だ。
それでもサスケは揺れる体をナルトの元へと歩ませ続けた。

サスケはナルトへと、手を伸ばした。

「お前は、生きろ」

真っ赤な瞳の中にある三つ巴が変形し、万華鏡となる。
流れが狂っているというのに構わず全力で放出したチャクラはサスケの体をずたずたに引き裂いた。
それでもサスケは痛みなど一切感じないかのようにそれを無視し、一心に九尾を睨みつける。

サスケの後方で忍達の戸惑う声。九尾を操ろうとしているのでは、とざわめき立つ彼らだが、結局九尾のチャクラの前に近づくこともできず、ただそれを見ていることしかできない。
誰も邪魔しない空間で、サスケは万華鏡写輪眼により九尾を無理やり抑え付けようとする。そして同時に、彼は九尾のチャクラを突き破ってナルトの手へと己の手を伸ばした。

あの夢の世界のように、二本の指へと触れる。

九尾、この男は喰わせない。
この男は、光だ。そしていつしか太陽になる。
誰よりも強く繋がりを作り続け、大切にする。
だからこそ、認められる。だからこそ、任せられる。
俺の復讐は、もう終わった。
ようやく、終わった。

この手の暖かさがあれば、どこまでも力を捻り出せる。

俺は、この世界の為に

体を圧迫し続けていたチャクラが不意に消え、サスケは大きく息をついた。
ナルトの体がサスケの後ろで倒れる。それをサスケは眼で負うのでやっとだった。
地面に倒れたナルトは壮大にいびきをかいている。
それを見て、サスケは一切陰を負うことのない、きれいな笑みを浮かべた。

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