【TOD2】dive – 08 –

diveTOD2
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ロ ニ ジュ ラ ブ



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世界が凍った。気温がくそ暑いのは変わらないけど。
レンズを右手に握り締め、勢いだけで告げた想いは、俺の中で驚くほどすんなりと受け入れられていく。そうか、俺ジューダスのこといつの間にか好きになってたのか。何でこんなに惹かれたんだか。
多分、どこかで認めてたんだな、こいつを。どこか同じところがあるような気がしたんだ。カイルを守ろうとしているような気がする、そんなところ。

「……暑さで頭やられたんじゃないか?……気をしっかり持て、ロニ」

返ってきた言葉は慈悲深いもののように感じるが、この気持ちが勢いだけのまがい物でない以上、痛い拒絶の言葉でしかなかった。だが、こんなところで諦めるロニ様じゃねぇ。美女にしか興味ない俺が本気で惚れちまった相手なんだ。止められるわけがないだろ。

「イカれてねぇよ、お前のことが好きだ。だから知りてぇ」
「………断る。守るだと?貴様に守られないといけないようなやわじゃない」
「わかってる!でも、守りてぇんだよ、支えになりてぇんだよ、俺の隣なら安堵できるような、そんな存在になりてぇんだよ!お前もなんとなくそういうのわかるだろ!?」
「わかるか!!」

またジューダスの腕を左手で掴んだ。ジューダスは焦りを帯びた表情で一歩後ろに下がる。

「真剣なんだ」
「…………」

困惑に歪んだジューダスの顔を見て、少しずつ冷水を垂らされているかのように頭が冷えてきた。いきなり男に告白されて詰め寄られて困らない奴なんていないだろう。

「……わり、ちと焦っちまった。……悪かったよ、この気持ちを受け入れてくれとは言わない。でも、その前に頼むから、ダイブだけさせてくれないか。さっき、すっげぇ嫌な感じがしたんだ。多分前の一度のダイブで何かしらお前のコスモスフィアの異変を感じ取れるようになったのかもしれない。ぜってぇ、お前を傷つけるようなことはしない。絶対だ。だから」

ジューダスの目が横にがくがくと震えるように動いている。頭の回転があほみたいに早いこいつでも、さすがに混乱を極めているんだろう。俺としたことが、まだ子供と言える年齢のジューダス相手に余裕のない詰め寄り方をして今更ながらに恥ずかしさがこみ上げてきた。後悔が渦巻く中、ジューダスは一際大きく息をつくと肩の力を抜いてそっとこちらに目を合わせる。

「……それで、お前の気が済むんだな?」
「あぁ」
「……わかった」

その許しに、ちょっと涙が出そうになった。それだけ俺は必死だったんだと今更ながらに悟る。
こんな行き成りな、乱暴的とも言って良い俺の行動をジューダスは許してくれた。俺の気持ちを汲み取って。第一階層で既に気づいていたことではあるが、本当にこいつは、なんて奴だろう。優しいなんて簡単な言葉で括れないものを持ってる。

「サンキュ……」
「とっとと始めるぞ」

半ば自棄になっているようにも見えるけど……。

俺がレンズを持った右手を差し出せば、ジューダスは静かにその手の上に自分の右手を被せて目を瞑った。俺も目を瞑る。意識がレンズへと引きずられていくような感覚。

先ほどのナナリーの言葉に浮かべた表情。同時に感じた異変。コスモスフィアという世界に形となって浮かび上がっているのだろうか。……もしかしたら俺の先ほどの告白に対する感情も浮かんでいるのかもしれない。そう思うとむずかゆい。
例え受け入れられなかったとしても、俺はどこかでこいつの支えになってやりたい。

砂に埋れた世界が暴かれる
渇き果てた世界に雫が落ちる

砂と混じり泥となり

ドロドロと溢れ出てくる

目を開けば、そこには普通の町並みがあった。
暑さはない。どちらかと言うとちょっと寒くも感じる。空は……多くの鎖が交差している。だが第一階層のときみたいに奥が見えない程ではなかった。鎖の向こうに見える空は、割れている。右半分はきれいな青い空だというのに、左の方は曇り空だ。その境を作っているかのように真下には町を分けるようにして謎の大きな壁が立っていた。

第一階層よりは、まぁ世界って感じか……な。

しかし、やはり鎖が気になる。
空を仰ぎ見ていると太陽が見えて目を覆った。あぁ、ここには太陽があるのかと思ったらそれはどんどんと近づいてくる。

「……また来たの」
「あぁ、なんだ心の護か。お前のこと忘れてた。どこまでも着いてくるつもりなのねお前」
「当たり前だよ。何のための護人だと思ってるの」
「ま、そりゃそうだな。丁度色々聞きたかったんだ」
「その前に僕も聞きたいことあるんだけど」
「ん?」
「君、本当何しに着てるの?好奇心で坊ちゃんの心の中を踏み荒らすなって言ったよね」

相変わらず俺のことを敵視してるんだなこいつ。
荒らすな、か。そういえば第一階層で鎖は俺のせいで現れたんだと言っていたか。今もこうして存在しているってことは、俺、いけないことしちまってるんだろうか

「俺がダイブしたから、鎖があるのか?」
「……いや、違うよ。第一階層には鎖が到達していなかったけれど、君がダイブしたから鎖で溢れた。でも第二階層には君がいようがいまいが鎖は最初から存在してる」
「そ、うか……ちょっと安心した」
「でさ、ほんと好奇心で来るなって言ってるんだけど」
「お前と同じように、あいつを護りたいからきてる」

心の護が一瞬思考を止めたように感じる。相変わらずただの発光体だからそのときそのときどんな感情を持ったのか中々読み取れないが、何故か空気で伝わってくるような、そんな不思議な感じがする。

「ふぅん……君に坊ちゃんを護れるのかな。ねぇ、君に坊ちゃんを受け入れること、できるのかな?」
「やってみせる。そう思って来てんだよ」
「一応、今は本気みたいだね」

探るような気配の後、心の護はそう言った。どこか見下しているような言い方が気に食わない。だが、これはジューダスを護りたい一心から来るものなんだろう。俺がカイルを護るために突如現れたジューダスに冷たくしていたときと同じように。

「最初来たときは曖昧な理由に感じたけれど、どう心変わりしたんだか。まぁとりあえず暫くは許してあげるよ。でも何度も言うけど、坊ちゃんを傷つけるような真似したら、僕が坊ちゃんの代わりに君を消すからね」

おー怖え。
不敵な笑みで返してやったら心の護はそれ以上何も咎めるような発言をしなかった。代わりに先ほど割って入られ質問し損ねた話を聞いてみる。

「でさ、俺からの質問。なぁ、コスモスフィアに変わったことはなかったか?さっきリアルでちょっとあってよ、何か嫌な感じがしたんだが」
「変わったと言えば変わったけど、変わってないと言えば変わってないよ」
「んだよそれ、曖昧だな」
「コスモスフィアだって世界のひとつ。移り変わるのが当然なんだよ。人の心なんてころころ変わるものでしょ?まぁ坊ちゃんはそんな軽いお人じゃないけどさ」
「特に劇的な変化とか、何か危ういことが起きてるわけじゃないんだな?」
「……そうだね。…………ちょっと、鎖が増えたくらいかな」

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中途半端だけど寝る時間だから切りー!
やっとダイブだよコスモスフィアだよコスモスフィア楽しいよコスモスフィア
でも原作ではスキットひとつで終わるダイブクリア後の心境の変化を書き込むのも楽しいかもしれないけれどやっぱりコスモスフィアが一番楽しいのですはい。

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