【TOD2】死人に縁ナシ – 2 –

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前サイトの天秤がちょっと気になったので読み始めたらいつの間にか最後まで読んでたでござる。
あとがきとか日記とか見てて色々思い出がぷわぷわ。楽しかった。そうそう、天秤って最初10話で終わらすとかほざいてたんだよね内緒さんww

死人に縁ナシのハロルドちゃんはマッドサイエンティストなところを出したいなーなんて思ってるんだけど、マッドサイエンティストってどんなのか知らないからスッゴイ間違えてる気がする。



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何でこいつ仮面被ってるんだろう

それは出会った当初からの疑問だった。それが町の人たちの視線を見ていて爆発した。いつか理由を探ろうと企んでいた”いつか”がハロルドの中で今に確定されたのだ。

町の人たちの視線が集まっている中でハロルドはことに及んだのである。

それは警戒心の塊であるジューダスを出し抜く神業だった。
ジューダスの回避パターンをある程度記憶していたハロルドは見事にその知識を活かし、下から上へスポンと音が立ちそうなほど綺麗にジューダスから仮面を剥いだのである。

0.5秒程、その場に居た者たちの体感時計が止まった。
ハロルドも同じくである。中から出てきたのは思わず見とれるほどの美顔。普段の警戒から不穏な雰囲気しか感じ取れないジューダスが驚きという隙を晒していたのも大きい。大きく見開かれた紫紺の瞳が真っ直ぐ太陽の下に晒され、皆の視線を惹きつけて止まなかった。

「オホホー!へぇ、こんな顔して……」

更なる好奇心と思わぬ発見に目を輝かせたハロルドの手から素早く仮面を奪うと同時に、ジューダスはハロルドの頭に拳骨を落とした。多少の手加減はされていたようだが、女性相手とすると少々強いそれにハロルドは頭を抱えて笑う。

「あいたたた……あら?」

だが、その後更に降りかかると思われた小言のパレードは来ず、ジューダスは仮面をさっさと被るとそっぽを向いて宿の方へと歩みを進めた。その背中にハロルドは漠然と拒絶を感じた。

「ハ、ハロルド……今のはちょっと……」

リアラが躊躇いがちに批難するのを耳にしつつ、ハロルドは黒いマントの靡く様をじっと見つめる。好奇心の元、あらゆる研究に犠牲を費やしたハロルドに先の事で罪悪感はない。ジューダスの反応を見て、仮面をつけている理由について考察を巡らせ、更なる好奇心の渦に吸い込まれている。

そんな中、少しずつ町の中がざわめき始めた。
主に女性を中心にして、友人同士最初はこちらに聞こえないように耳打ち。話しているうちにテンションがあがりそれは普通の話し声となり、更に大きくなって他の者たちをも巻き込んで噂の火が上がった。

「ねぇ、今の見た?すっごい綺麗な顔!」
「一瞬だったけど確かに見た。綺麗な人だったよね!」

瞬く間に煙は広がり、町の女性たちは仮面の下に綺麗な顔を隠す少年の虜となったのだった。
隠してあるものは見たくなる。その中が至高のお宝なのであれば尚更。意味深な仮面と漆黒の衣装が火に油を注いでいた。
かくしてジューダスは町の女性に追われる身となった。

ロニであれば手放しで喜ぶだろう状況を、ジューダスは心底嫌がっている。その様がおかしくてハロルドはまた笑った。欲の無い人間だ、と。
ハロルドのことを無視する事に決めたらしいジューダスは何処から持ってきたのか本を開いて読んでいる。

「それ、面白い?」
「……別に」
「でしょうね」

ジューダスは暇つぶしに文字を目で追っているだけだ。ハロルドは自分のすぐ隣にある机の引き出しに目を向ける。中にはジューダスが部屋に戻ってきたと同時に仕舞った本がある。
ハロルドは視線をジューダスへと戻した。時にページを捲り、後は目が若干動くだけというその姿は精巧な人形のようだ。感情も何も感じ取れないその姿にハロルドは直ぐに飽きてしまった。

仮面を被り続ける理由。ハロルドの胸をときめかせたその好奇心は、たった一冊の本で全て解決した。
神の眼を巡る騒乱、四英雄と裏切り者、シャルティエ
実際にその騒乱の最後を僅かとはいえ見たハロルドは回答欄に書くべき内容を簡単に割り出した。

ジューダス=リオン・マグナス

パラリ、またページが捲られれば一切動かないその姿。死んでいるみたいだと前から思っていたが本当に死人だったとは。ハロルドは冷えた目でジューダスを一瞥すると、窓へと視線を向け体の向きも変えて完全にジューダスに背を向けた。

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