【TOD2】 dive 続き – 04 –

diveTOD2
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夢イベ後の会話~2回目第四階層冒頭です。
やっと心の護の正体がわかります!!!!!正体明かす前から思いっきりあとがきとかでシャルって言ってたけど!!なんと!その!正体は!!!!シャルティエですね!!はい!!!!
シャルティエとロニとの会話の際のシャルの喋り方とロニがシャルティエをどう呼ぶか、ですっごい悩みました。
シャルって基本敬語だから困る。でもコスモスフィアではシャルティエはロニを危険視していることが多いので、あまり敬語はおかしいように感じて珍しくシャルちゃんタメ口です。シャルティエってどんな風にタメ口聞いてたっけ……って動画あさるもあんまり出てこず。デスティニーまでプレイするのはめんどくちゃい(‘`
一方、ロニにはシャルティエさんって呼ばせるか、シャルティエって呼ばせるか迷いました。軍人としてのシャルにはシャルティエさんって言うのでしょうが、やっぱり軍人シャルとソーディアンシャルは別だからなぁーっていう。
結局しょっぱなからずーっとタメ口続けてたのと、相手は剣ってことで年齢を感じ辛いってことからシャルティエって呼ばせることにしました。


千年前、天地戦争の時代へとやってきた俺達は相変わらずの波乱万丈さで地上軍の作戦に紛れ込んだ。
忙しさもあってか、俺達もジューダスも今までと変わらず仲間として接している。今のところ、あいつの隠し事が暴かれた今も、何も変わりはしなかった。
今は地上軍のロケットの材料を集めて帰って来たところだ。ハロルドは大声で歌いながらロケットの作成に取り掛かっている。この時代に来てから漸く俺達は休息を言い渡された。今はカーレルさんの部屋を借りて休ませてもらっている。さすがに貧乏な地上軍なだけあって、残念ながら部屋は一つしかない。
伝説の英雄、ソーディアンマスターと共に戦うことに浮かれているカイルはリアラを連れて部屋を出て行った。ナナリーが浮かれているカイルに苦笑している。俺もそれに笑っていたのだが、ようやく訪れた機会にそわそわしていた。
そっと、ジューダスの方を見る。視線に気づいたジューダスがこちらを見た。
はて、どうしようか。できれば、二人きりで話がしたいんだがなぁ。
「ナナリー」
「ん?なんだい?」
迷っている間に、ジューダスがナナリーの名を呼んだ。
「すまないが……少し、席を外してくれないか」
「え?」
「話をしないといけない」
「……」
ナナリーが目を瞠り、俺の方を見た。俺もまた思わず一瞬目を丸くしてしまう。が、いい機会だ。
やや不安気にこちらを見るナナリーに俺は笑顔を浮かべて頷いて見せた。大丈夫だ、という意味を込めて。
「……わかったよ。じゃ、ちょっくらハロルドの様子でも見てくるね」
「あぁ、悪いなナナリー」
カシュン、と自動ドアが閉まる。俺は一つ息を吐いてから、ジューダスの方へ歩み寄った。
「ジューダス……俺はな」
「……」
言葉を発する俺を余所に、ジューダスは仮面に手をかけ、ゆっくりとそれを持ち上げた。ジューダスの素顔が、露になる。初めて、だ。その素顔を見たのは。むかつくほどに整った綺麗な顔をしていた。
俺とジューダスとの間にもはや何も阻むものはなく、ジューダスは俺を真っ直ぐ見た。
「僕を、ジューダスとして受け入れたこと、感謝している」
「あ、あぁ」
「だが、どう偽ったとて、仮面を外せば僕はリオン・マグナスだ。その罪は消えやしないし、お前も、無理に受け入れる必要はない」
「……」
「だから……」
「止めようや」
俺は空を仰ぎ見ながら、半分降参するように言った。困るのだ。こういう話は。
正直、未だにわからない。リオンをどう受け入れるべきか。だからジューダスとして受け入れたのだ。
「……俺は、ジューダスと一緒に旅を続けたいって思ってる」
「……」
「だからよ」
俺はポケットからレンズを取り出した。やらないといけないことがある。今もこいつがこうして、罪を待つっていうのなら、俺はあいつの所へ行かないと。
「ダイブ、させてくれ」
「……」
ジューダスはレンズをじっと見て、小首を傾げた。その動きに合わせて黒髪がさらっと揺れる。
「やらないといけないことがあるからよ」
「……わかった」
再び、レンズ越しに俺とジューダスの手は重なった。
この仮面がないからこそに生まれた見えない壁は、今回のダイブで消すことができるのだろうか。
俺はコスモスフィアの、あの小高い丘の上にいた。鎖の数も、ヨウの世界の様子も、処刑台も、何も変わらない。あの第四階層だ。心の護が言っていたように、本当に第四階層を最初からやり直すようだ。
「やぁ……とうとうこの時が来たんだね」
心の護の声だ。俺は声がした方へ目を向ける。背後のやや上空から聞こえたはずなのだが、そこには俺の知る心の護の姿はなかった。変わりに、一振りの剣が浮いていた。
「お前……心の護か?」
「そうだよ。改めて自己紹介しておこうか。僕は坊ちゃんの心の護、シャルティエだよ」
そうか、なるほどな。そういうことか。思えば、あの夢の世界、ジューダスの記憶の中でリオン・マグナスが握っていた剣と同じだ。ソーディアン・シャルティエがジューダスの心の護だったのか。そりゃリオンであることを隠すにはこいつの存在も隠す必要があるな。
本当に、あいつはリオンなんだな……。
「しっかし、剣、かぁ……あの発光体のときも表情が見えなくて困ってたが、この状態でも変わらずわからねぇな」
「君はソーディアンマスターってわけでもないしね」
「あ?関係あるのか?」
「あるさ。ソーディアンとマスターは一心同体。僕と坊ちゃんは互いの感情を、表情を見なくたってある程度は感じ取れるよ」
「へぇ……」
シャルティエのレンズの部分がほわほわと光っているくらいしか、俺には変化がさっぱりわからない。思えばあの発光体はこのレンズの光だけが見えている状態だったのかもしれないな。
「天地戦争の時代に来て、人間であるシャルティエさんを見たっていうのに、人の姿にならねぇんだな」
「坊ちゃんにとっての僕は、ソーディアンだからね。天地戦争時代の僕とは当然関わったことはないし、手を触れ合ったことすらないんだから、仕方ないさ」
それでも、心の護になるほどなのだから、親密なんだろうな。あいつがソーディアンと喋っているところは見たことがないが……いや、そういえばたまに一人で隠れてボソボソ言ってたことがあるな。白雲の尾根の山小屋が特にそうだ。あれは、シャルティエと喋っていたのか?
「さて……ロニ……今回は、何をしに来たんだい?」
シャルティエの声が低くなる。警戒しているのだろう。
「君は、坊ちゃんの正体が知りたくてここに来ているのだと思っていたよ」
「んー、そんな一言で言えるような簡単な理由ってわけじゃ、ねえな」
「ふーん?」
どこか不機嫌そうに答えるのは、その裏に不安があるからだろう。俺は苦笑した。
「安心しろよ、シャルティエ。俺はこの世界のジューダスを助けに来たんだ。あいつが何の罪状で処刑されそうになっているのか、わかったことだしな」
俺は処刑台の方を見た。あれはあいつの、罪悪感の塊だ。
「君は、それでいいの?本当に?」
未だにどこか硬い声に、俺はシャルティエの方へ視線を戻す。
「なんだ、心配してくれてんのか?」
「……悪いけど、僕は君のことなんてどうでもいいんだ。まぁ多少は気にしてあげるけど、そりゃ、君のご両親のことは……凄く、残念で、……ソーディアンとして関わったシャルティエの半身である僕としても、そりゃ気にしてないわけじゃないけど、……それでも坊ちゃんが、一番大事なんだよね。悪いけど」
俺は黙った。黙ることしかできなかった。肯定も否定もできない。胸の奥に飲み込めない想いも渦巻いている。返す言葉が見つからなかった。
シャルティエのコアがじんわりと光る。
「君が今抱いている思いは、真っ当だよ。だからこそ、関わらない方がいいと思っている。君の気持ちは嬉しいけど、無理はするもんじゃない。返って互いに傷つくだけだ」
納得できない、自分でも理解できない思いがもやもやと胸を渦巻いている。シャルティエの言葉は正しいのかもしれない。俺は下手にジューダスにこれ以上関わるべきじゃないのかもしれない。だが、処刑台は未だにあそこにある。リオンであることを知られて、それでも仲間として共に旅をしても尚、あの処刑台は消えてはいない。
「……いや、それでも俺は、あいつに伝えないといけないことがある。俺は、行かないといけねぇ」
シャルティエは暫く沈黙した後、「わかった」と言った。俺はシャルティエに頷いて見せ、町へと走った。
町は相変わらず処刑前ということでざわついている。ただ、どれだけ探し回ってもカイルとナナリーとリアラの姿が見当たらなかった。これは現実世界での出来事が影響したのだろう。だとしたら処刑自体もなくしていいと思うのだが……やはり俺の両親のことを思ってなのか、相変わらず処刑の執行は俺の役割のようだ。

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