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ロニの告白読み返して恥ずかしくて思わず顔がにやついちゃいましたww
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紫紺の瞳が丸々と晒しだされ、口が小さく開かれている。ジューダスは唖然としていた。想像通りの反応だったが、いつも皮肉を口にしたりすること以外では固く結ばれている口が重力のままに小さく開かれている姿は、ちょっと、キた。何かが。俺はもう、大分末期だ。
もう一度大きく呼吸をして、気を引き締める。
「もっと知りてぇし、俺の知らない話をしてるのを見ると、もやもやする。昔を思って、表情が曇るお前の隣に、支えとして立てるようになりてぇんだ。お前が寄りかかれるような、そんな人間になりてぇ」
呆気にとられている瞳は俺の前に晒されたままだ。今の間に、全部真っ直ぐ想いをそこにぶち込む為に、俺はその瞳を見つめながら思いのままに伝える。
瞬きすら忘れていたジューダスの瞼が、ようやく動き出す。パチパチ、と大きく瞬く。ぽかんと開かれていた唇が一度閉じ、それから鯉のようにパクパクと数回開いては閉じてを繰り返した。
小さな口が完全に閉じられてから、沈黙が続く。俺の伝えた言葉を、五回は頭の中で繰り返したんじゃなかろうか。
俺は固唾を呑んだ。ジューダスの口が、開かれる。
「それは……ロニ……何かの、間違いじゃないか。……お前は、……同情、しているのか?」
ジューダスの声は混乱の為かやや震えていた。だが、そんなことより、最後の言葉に頭に血が上る。
「ちげぇよ!そんな、そんな下らないことじゃない!」
「お、大きな声を出すな」
焦りに満ちたジューダスの表情に俺もすぐ口を閉じ、あたりを見回した。周囲の兵士達がこちらを気にする様子はない。安堵の息を吐いて俺はジューダスに向き直る。
「……つか、同情すら、俺は今できやしねぇんだ。お前を、知らないから……俺はお前を知りてぇんだよ」
ジューダスの過去に寄り添うことが、俺には今できない。必要とすらされていないのは分かっている。自己満足なのもわかっている。でも、それでも、俺はこいつが欲しいんだ。
ジューダスは眉をひそめた。
「ロニ、それは……きっと何かの間違いだ。やめた方がいい、碌なことにならない」
「またそれかよお前は……悪い癖だ」
「ロニ……」
揺らがない俺にジューダスの瞳が揺れる。
「ジューダス。俺のことは俺で何とかする。今はただ、お前を知りたいって気持ちが強いんだ」
「ロニ、よく考え直せ」
「この気持ちは簡単には消えやしねぇぞ。なんたって、初めてダイブしたときから、ずっと俺の中にあったんだからな」
ジューダスはとうとう俯いてしまった。再び沈黙が降りる。何か更に畳み掛けたくなったが、うまい言葉が思いつかない。いや、落ち着け。ジューダスだって考える時間が必要だ。
「その……ロニ、好き、というのは……」
ぼそっと、こちらに顔を向けることなく床に向かってジューダスが呟いた。
俺は即答する。
「愛してる、の意味だ」
おずおずとジューダスは顔を上げる。顔は相変わらず困惑に歪められていた。
「……それは、友愛、という意味か?」
「恋人にしてぇって意味」
「……」
再び沈黙。まぁ、そりゃそうだろう。次にジューダスは誰もが持つだろう疑問を告げた。
「僕は男だぞ?」
「綺麗な顔してるけどいくらなんでもそれはわかってる」
「……ロニ、お前女が好きだったんじゃないのか」
「あぁ、美女は好きだぜ」
「意味がわからない……」
あぁ、そうだろう。俺だって気持ちに気づいたときはびっくりしたのだから。
俺はゲイじゃない。いつだって目が追うのは美女だった。ナンパしたのも当然美女だ。ただ、そんなのとは一切関係ないところに引かれたんだから仕方ない。あ、でもこいつもすっげぇ綺麗だし美人だとは思うけどな。
「俺も、不思議に思う。でも、男だとか女だとか、そんなの関係なかったんだよ。」
コスモスフィアで深くその心に触れてしまったからかもしれない。
気づいたときには仲間だとか、そういうのからこの思いは逸脱していたのだ。この思いを友愛だと誤魔化すことはもうできない。何度も自分で疑ってもみたが、それでもやっぱり答えはこれに辿り着いたんだ。
「お前が好きなんだ。嘘じゃねぇ。俺の気持ちを疑わないでくれ」
ジューダスは再び絶句した。僅かに後ずさろうと右足が後ろへ動くから俺は両肩を掴む手に力を込めた。悪いなジューダス。逃げ場はもう無いぜ?
「その……僕は……」
「俺が、嫌いか?」
再び俯き始めた表情が俺の問いにバッと持ち上がる。
「いや……」
皮肉もなしに嫌いじゃないという言葉を引き出せるとは思わなかった。混乱しているからこその純粋な言葉だと思う。ジューダスからの即座の否定に俺は思わず顔がとろけるように綻んでしまった。急いでそれを但し、右手をジューダスの肩から離してやる。
「すぐ返事をくれとは言わねぇ。……お前のこと、知りたいって思っちゃ駄目か?」
ポケットに手を突っ込み、レンズを取り出した。ジューダスもポケットに手を突っ込んだ時点で察したのだろう、目の前にレンズが差し出される動作を目で追っていた。
「教えてくれよ」
ジューダスの目はレンズに注がれる。瞳を揺らせながらじっと。
ややあって、漸く声が出たといった様子で「その……」とジューダスは口にする。
「よく……わからない」
余程混乱しているようだ。ここまでの動揺は初めて見たと思う。これだけ時間をかけても未だにジューダスは事態を飲み込めていない。よくわからないのは、何に対してだろう。
「……ただ、ロニがダイブしたら、今までこんな風に、よくわからなかった感情が定まることが、度々あった」
少し驚いた。そうか、やはりコスモスフィアで起きたことはジューダスの何かしらの影響を与えていたのか。
レンズに向けられていたジューダスの目が、俺へと向けられる。
「だから……また、お前がダイブしたら、わかる、だろうか」
困惑を宿しながら、縋るようにジューダスは言った。
俺の頭はショートした。
うわ、うわうわうわうわ。うわぁ。やべぇ。
頭の中が意味を成さない言葉で埋め尽くされる。やべぇ。
あのジューダスが。ずっとダイブを恐れていたジューダスが。
縋った。良い方向に向かうのではないかと思って俺がダイブすることを許可した。それは、今までの俺のダイブがジューダスにとって良い結果を出していたのだと認めてくれたような、もんで。
やべぇ……嬉しい。
「保障はできねぇけど、俺は……お前の支えになりたくて行く」
「……ん」
ジューダスの手が、レンズに触れる。
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デレたあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
特に第三階層では過去への思いや本来は存在しない自分自身への困惑を解消し、ジューダスとして今を見つめ生きることを明確にしてくれたダイブはジューダスも助かったと思うんです。安心と信頼の第四階層クリアも得点たかし。
だから思わぬ告白に動揺してとりあえずダイブに縋った坊ちゃんでした。
坊ちゃんは当然、まだ恋愛感情としてロニを見るべきかどうかは迷っています。恋愛としては今まで全く見ていなかったと言ってもいいかな。でもロニからそういう目で見られたことで意識し始めるって感じで。
あとは、ロニを否定するのが怖くてあんまり強気には出られない感じで。度重なるダイブとパラダイムシフトによりロニへの信頼は原作ジューダスと比べてかなり上がっているんです。だからロニを否定することでロニを失うかもしれないっていう恐怖が思いのほか無意識に強いって設定!にした!
いつまでも拒絶されてたらダイブ進まないし!!!
ロニの「教えてくれよ」はイケボでお願いします。
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