【TOD2】 dive 続き – 13 –

diveTOD2
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お待たせしました>< いつも拍手ありがとうございます!!
久々に歯医者行って歯ゴリゴリされてテンションだだ下がって不貞寝してましt
歯医者って行った後より行ってる最中より行く前が一番テンション下がりますよねwwww気を紛らわすのに大変でしたw
よーーーしロニジュ書くどおおおお><
ところで今メインで使ってるノートパソコンの辞書さんが頭悪くて困ってますww
何でこんなに変換不自由なんだこのパソコンwww



気づけば足がジューダスを探していた。
カイルやリアラはラディスロウで休んでいるが、ジューダスやナナリー、ハロルドは外に出ている。行き先は定かではない。ナナリーは矢の補充だとか言っていた気がするが。
地上軍拠点をくまなく探していたら、ようやく真っ白な雪の世界の中に目立つ黒を見つけた。
「よ、ジューダス。どこに行ってたんだ?」
「……」
ラディスロウへと丁度戻るところだったのだろう。こちらへと歩いてくるジューダスに片手を上げる。
ジューダスは背後へと目を向けた。その視線の先を見ると遠い場所にこれまた目立つ濃いピンク色が見えた。
「ハロルドか」
体を丸めて座り込んでいる。あそこは確か、遺体の安置場だ。カーレルさんに最後の別れを告げているのかもしれない。
カーレルの死について予め知っていながら教えず、カイルの発言を咎めていたジューダスにはハロルドに対して罪の意識があったのかもしれない。しきりにハロルドを気にしている様子があった。
「今は一人にしておいた方がいい」
「あぁ」
静かに相槌を打つ。
ジューダスはマントを翻して再びラディスロウへと歩みを進めた。俺はその隣へ並ぶ。
「ジューダス……次は、神の眼の騒乱の時代だな」
「……あぁ」
少し間をおいて相槌が返って来た。やはり、色々思うものがあるのだろう。
「もしかしたら、四英雄に会えるかもしれねぇ」
「……」
カイルにスタンさんのことを語っていた姿、コスモスフィアでスタンさんの死について告げたときの怒りを宿した瞳。
リオンが四英雄を裏切ったからといって、仲間だったときの時間が消えるわけではない。一度目の神の眼を取り戻す旅も長かったと聞く。
ジューダスの様子を見る限り、仲間としての絆は必ずあるはずだ。
「お前、何か伝えたいこととかさ……」
「その言葉、お前達にそのまま返すぞ」
「……あー」
俺が何を言おうとしていたのかある程度予想をつけていたのだろう。ジューダスは俺の言葉を遮るように淡々と告げた。
「第一、会うわけにはいかない。あいつらには見つからないように歴史介入を防ぐんだ」
「そりゃまた、難しい話だなぁ」
適当に相槌を打ちつつも、頭の中で考えるのは歴史修正のことではなく、スタンさんのことについてだ。
コスモスフィアでのジューダスの言葉を考えるに、ジューダスは前からスタンさんが亡くなっていることを知っていたのだろう。カイルがスタンさんは旅に出ていると思い込んでいることを、どう思って見ていたのだろうか。
甘やかすなと言いつつもスタンさんのこと、俺達のことを黙って見守ってくれていたのだと思うと、少し気恥ずかしいが胸が温かくなる。同時に、罪悪感も芽生える。
俺は足を止めた。それに気づき数歩進んだ先でジューダスが歩みを止めて訝しげに振り返る。
「お前は、スタンさんがもう亡くなっていることを知っていたんだな」
「……やはりお前は知っていたのか……いや、もしかしてダイブしたからか?」
数回ゆっくり瞬きをした後、ジューダスはやや気遣いを感じるような声色で聞いてきた。
ダイブをしたからスタンさんの死をジューダスは知っていることがわかったが……ん?なんか言い方がおかしいな。あぁ、そうか。俺もカイルみたいにスタンさんが生きていると信じていた場合も考えていたのか、こいつは。
「いや、最初から知ってたよ。さすがにカイルほど馬鹿でも純粋でもねぇ」
「……そうか」
「あぁ、スタンさんが旅に出ていると信じ込んでいたのはカイルだけ……まぁ、孤児院のガキらもだがな」
そういえば、こいつはどうやってスタンさんが亡くなっていることを知ったのだろうか。甦ったときには既にバルバトスが動いた後で、エルレインにその話を聞いていたのだろうか。
「ほう……ならば、もうカイルも知っているのか」
「あぁ」
過去形にしたのを聞き逃すことなく、ジューダスは目を細めた。
「エルレインの夢の世界で見せられてな」
「そうか」
ジューダスの声に、これまでにない程の優しさが滲んでいるように感じる。それがあまりに心地よくて、同時に後ろめたくて、未だに残る俺の罪の意識がずるずると心の底から浮き上がってくる。
ジューダスがかつての仲間を思う姿を見る度に、スタンさんに関わることに触れる度に、じくじくと痛んだ想いが、口をついて出た。
「……スタンさんは、俺のせいで死んだも同然なんだ……」
仮面の下の瞳が訝しげに俺を覗き込む。思わず一度目を逸らしてしまったが、意を決して紫紺を見つめ返す。
「俺とカイルが庭で遊んでいるときに、あいつが……バルバトスが現れたんだ。俺はバルバトスに捕まっちまって、人質にされちまった。だからスタンさんはまともに戦えなくて……」
殺された。
あの光景は鮮明に呼び起こすことが出来る。あの強靭な斧が、あの巨体から繰り出されブォン、と凄まじい音がして、それで……
息が苦しくなる。俺はあの日の光景を首を振って払った。
「カイルは当時、すげぇ小さかったからよ。……あまりにあの出来事がショックだったんだろうな、記憶が曖昧な日々が続いてよ。結構な時間をかけて普段どおりに戻ったんだが、そのときにはあの出来事を覚えていなかったんだ」
「……」
「だから、カイルにはスタンさんは旅に出てるんだって、嘘ついてたんだよ」
魂が抜けたようになってしまったカイルの姿は、見ていられなかった。傷ついたルーティさんの姿と、カイルの姿。俺を受け入れてくれた大切な家族が、俺のせいで、めちゃくちゃになってしまった。
それなのに、ルーティさんは傷ついた体が痛むのも構わず、俺を抱きしめて怖かったね、大丈夫と声をかけ続けてくれた。
嬉しさと、罪の意識とで、頭がぐちゃぐちゃになってたな……。
目頭が熱くなってくるのを、目を閉じ、空を仰ぐことでなんとか耐える。
「あの男、強い人間と戦いたいなどと大口叩いていた割りにやることが情けないほど卑劣だな」
低く搾り出すような、怒りを隠しきれない声に喉が絞まったが、少ししてそれがバルバトスのことだと分かった。あぁ、そうだなと少し口角を上げるものの、それを口には出来なかった。
「スタンは、お前にそんな顔をさせる為に死んだわけじゃない」
先ほどとは打って変わって、柔らかく優しい声に俺は目を開けた。
「お前やカイル達が、いつものように馬鹿みたいに能天気でちゃらんぽらんな毎日を過ごしてくれることを、いつも通りの日常を送ってくれることを、祈っているはずだ」
強い紫紺の瞳が、真っ直ぐ俺に向けられている。上辺だけの取り繕いで告げられている言葉なんかじゃないというのが、ひしひしと伝わってくる。
「罪の意識なんて持って欲しくなかったはずだ。ただ、偶に思い出してくれるだけであいつは満足するだろう。能天気な奴だからな」
ジューダスは一度目を瞑って、そして祈るように言った。
「……少なくとも、僕ならそう思う」
何でだろう。本当に、スタンさんの言葉を聞いてきたのではないかと思うような真実味を感じさせられる。スタンさんが乗り移っているのではないかとそう思ってしまうくらいに。
「お前だってわかっているはずだ」
開かれた紫紺の瞳が、また俺へと向けられる。普段高圧的に釣りあがって感じる目じりが、穏やかに下がっている。
俺を思って、真摯に思いを告げてくれているんだ。
紫紺の瞳が、あの時、大丈夫よと俺の背中を撫で続けてくれたルーティさんの瞳と重なる。そういえば、髪の色といい、似ているところがあるな。
すぅ、と張っていた気が緩まっていくのを感じる。肩から力が自然と抜けて、俺は一つ息を吐く。自然と笑みが浮かんだ。
「そうだな。……ありがとな、ジューダス」
ジューダスは少し目を細めた後、ふん、と鼻を鳴らして止めていた歩みを再び進めた。それが照れ隠しにしか見えなくて、俺は更に顔を綻ばせてしまう。
なんて愛おしい。
それにしても、本当にジューダスが言っていた言葉はスタンさんの人柄に合ったものだった。それだけスタンさんのことを理解していたのだろう。理解しているということは、それだけスタンさんの思いを受け入れようとしたことがあるということだ。
考えれば考える程、どんどん俺が考えていたリオンという人間とかけ離れていく。リオンが分からなくなっていく。同時に、知りたくなっていく。知らなければ、いけない。そうとまで思えてくる。
こいつを好きになればなるほど。
「なぁ、ジューダス。また、ダイブさせてくれねぇか」
再びジューダスは歩みを止めて振り返った。
「お前は……本当に好きだな、それ」
「ダイブすんのが好きなんじゃなくて、お前が好きだからダイブしてぇんだよ」
開いた距離を歩いて埋めながら言う。ジューダスの僅かに見える頬に赤みが差した。
「よくも恥ずかしげもなくそんなことを言えるな……」
「お前相手だと恥ずかしがってたら逃げられるしな」
「……」
すぐ隣まで歩み寄ったところで「な?」と声をかける。ジューダスは複雑な表情を浮かべてから俺に背を向けラディスロウへと歩みを進めた。多分これも照れ隠しが入ってる。はは、かわええ。
「とりあえず場所を変えるぞ……」
「おう」
ジューダスから拒絶の言葉はない。俺は浮かれながら後をついていった。
ジューダスが向かった先は前回もダイブを行う際に使った物資の保管箱の裏だった。重く大きい箱に背を預けて、ジューダスは俺を真っ直ぐ見る。
「ロニ、お前はどこまで知りたいんだ?」
「あ?」
一瞬質問の意味が分からず固まってしまう。同時に質問の答えにも迷った。
どこまでって、……きっと、この知りたいという欲望は尽きることがないのではないか。
「……そりゃ、お前の全部を知りたいって思ってる」
「それは、リオンとしてのこともか」
なるほど、本題はそれか。
俺は迷わず頷く。
「あぁ」
「……」
ジューダスは一度目を閉じて沈黙した。
知られたくないのだろうか。
長い沈黙の後、ジューダスは漸く口を開いた。
「……ロニ、僕は……あのときの僕の行動を、他人が理解してくれるとは思えない。むしろ、お前には理解し難いものだと、思う」
「他人なんて言うなよ」
「それでも……」
「要は、否定されんのが怖いのか?」
「……いや」
今までのことを思い返しながらそう問えば、ジューダスは少し顔を顰めて否定した。
だが、その後何かを言おうと開かれた唇から声は出ず、一度閉じられた後、ジューダスは首を横に振る。
「……いや、そうかも、しれない…………わからない」
伏せられた瞳が翳る。
「ただ、僕は……理解を得ようとは思わない」
その言葉に、俺は少し苛立った。俺の存在など不要だと言われたような気分だった。
それでも、本来勝手に踏み込んでいいところでないことも理解している。歯がゆい。
「過去を知ることは、そんなに大切なことだろうか」
「俺の自己満足だってことは分かってる」
一方的な片思いだということも痛いほど分かっている。それでも止められない。
「ただ、お前の過去を理解できなかったとしても、今のお前が好きだって気持ちは変わらねぇって思う」
あわよくば、こいつが理解を得られないと思うそれに寄り添うことで、こいつの思いが俺へと向けられればいい。そんな欲望が裏にある。我ながら汚いとは思うが、この思いは綺麗に留まれるほど小さくない。
ジューダスは呆れたように息を吐いた。
「……お前は変な奴だ」
「そうか?」
俺は笑って小首を傾げてみせる。
「わかった。レンズを出せ」
ジューダスはそれ以上特に語らず、俺にそう促した。
毎回こうやって、俺はジューダスの怯えを踏みにじって心の中に入り込む。
ならば、せめてその思いを可能な限り受け入れてやらなければ。そう心の中で決意しながら、俺はレンズ越しにジューダスと手を繋ぎ、目を閉じた。

diveロニがジューダス好きすぎて別人wwwもうどうしようもないねこいつ!
今日成り行きで初めてスタン死亡事件時のロニを想像しましたが、めちゃくちゃ可哀想やった;w;
ジュダちゃんの必死に慰めようとする菩薩っぷり可愛い。
でもその慰めの裏には、スタンと同じようにマリアンを守って死んだ身としての言葉だったりするつもりです。
これ内緒の滾りポイント。

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