プルースト フォーゴットン クロニクル感想 トラウマを乗り越えて~

diveTOD2
この記事は約24分で読めます。

買って、聞いて、それからずっと押入れに封印していたプルースト・フォーゴットン・クロニクルちゃんを取り出しました。
dive第六階層でフィンレイ出すのに口調を完全に忘れたからです(’`
多分ずっと聞いてなかったのはトラウマだっていうのもあるんだけれど、当時の自分のリオン像と若干離れてたっていうか、あれだ、多分、自分の中の設定がこれでまた狂うんだろうなってのがあったからだね!
実際聞いたらかなり狂ったよ!こうしてまた少しずつちょっと前に書いた内容と矛盾が生じて小説があべこべになっていくんだぜ!でもまぁいいか!!!!
でも聞いてて思ったのですが、やっぱり内緒のリオン像にプルーストの存在はかなり影響してますね。
シャルティエとリオンは生まれてからずっと一緒だったっていう設定はプルーストから取ってたりね。
でもうろ覚えで書いてたせいでルーティに会いに行ったタイミング全然違うね!!!!あれは小説かなんかの影響かもしれない。
そんなわけでつらつらと覚書もかねて感想。死ネタ注意と一応言っておきまうす!



しょっぱなからヒューゴinミクトランの狂った謎演説が入ります。
「男か!?女か!?ソーディアンの素質はあるのか!?」
ミク様ぶれねぇっすね。その後の演説は僕の語学力ではちょっと何が言いたかったかわからないです^p^
シャルティエが赤ちゃん坊ちゃんに楽しそうに話しかけてるのクソ可愛い。お守りシャルクソ可愛い。っていうかシャルティエの声ってめっちゃ優しい感じが出てて凄い好きなんですよね。なんか旧のびた声優さんと同じ感じで、ヘタレだけどめちゃくちゃ優しさがにじんでるって感じの声。めっちゃイイ。
「ヒューゴ・ジルクリスト……危険だ……何をたくらんでいる。ベルセリオスは何故あれをマスターに?僕はソーディアンとしてどうしたら……」
悩めるシャルたん。D2厨の私としてはベルセリオスとシャルティエは一切会話しなかった設定にしとこう。ちょっと無理があるかもしれんけどネ!(D2では天地戦争の時点でベルセリオス壊れて反応なくなってたんだっけかな。「あれ?なんで直ってるんだろう、喋ってるっぽいよなぁ」とか不思議に思いつつ、結局会話が適わなかったって感じでよいかぬ)
その後現れたクリス様にしょっぱなから泣かされた。開始数分で。内緒家族愛弱いねん。
間違ってるかもしれないけれどこんな感じ
「お父様を恨まないでね、お父様は変わってしまった。でも、ルーティを殺せって言ったとき、あの人はずっと何かと戦っていたわ。きっといつか、その何かに勝って、昔の優しかったあの人に戻ってくれる……」
うちのジュダちゃん、リオン君は家族への愛情が心の底にずっと残っているので、このお父様を恨まないでねっていうクリス様の言葉が根付いてるのだと思ったらそれだけでもう涙腺緩んだ。
「お母様の思いは、いつもずっとあなたと一緒よ」
「泣き疲れたら、夢の中でお休み。お眠りなさい……お母さんの……」
子守唄って卑怯だと思うの。アルトネ2の子守唄にも何回泣かされたか。
泣き疲れたら、夢の中でお休み ってところで海底洞窟で死んだリオンが何故か浮かんでファアアアってなった。
一気に時間が飛んで多分14歳くらいのリオン君。
既にリオン・マグナスって名前になってたわん。びっくりするくらいのヒューゴ厨。プリーストのリオンってそういやこんなだっけww全力でヒューゴを尊敬してたんやね。愛してくれなくっても尊敬し続けてるピュアリオンたんぱねぇ……。
マリアンに友達を作った方がいいわって言われるけどヒューゴ様の方針は間違ってないもんって突っぱねるリオン君。
そういや原作Dもそうだけど、リオンって女性軽視発言多いんだよねw「でもマリアンだけは別だよ!」ってもうね。わんころみたいこのリオンくそかわいい。
15歳一日前にヒューゴが女王陛下の乗る馬車に山賊みたいなの差し向ける。
女王陛下もはや助からないだろう!ってところでリオン君颯爽と登場。時代劇みたいな名乗り出だったwww
あと詠唱かっこいい。マスターとソーディアンの交互詠唱かっこいい。めっちゃいい。でも詠唱長い割にはグレイブって結構しょぼいね!!でもなんかエアプレッシャーくらいの効果ありそうだったね!
シャルティエが「これで坊ちゃんきっとヒューゴ様に褒めてもらえます!明日の誕生日もきっと初めて祝ってもらえますよ!なんたって大切な節目になるんですから!」って言っててもう可愛い。せつない。あぁくそリオン祝われてなかったんだねorzあぁあん
先のことがきっかけでセインガルドの兵士に迎えられ、フィンレイに預かってもらうことになる。
完璧にやり遂げた!って心の中で唱え続けるリオンたんの心の裏は褒めてもらえるかも、認めてもらえるかも!ってシャルティエの言ってた言葉がそのまま隠れてるのがもう見え見えで切ない。
報告に行ったら会議中で、成功したって報告にも「そうか」ってだけで気にせず会議を続行。何か言葉を求めて話しかけるも会議の邪魔だといわん雰囲気がひしひしで アァアアアア 退室間際に「あ、そうだ」って感じで話しかけられて、ものすごい期待を込めた「はい!」って返事にもう心が折れそう。
「親子であること、決して悟られぬよう今後ここには出来る限り来るな」
うわぁあああああああ嗚呼ああああああああああああああああああああああああ(内緒の断末魔)
ところで、どうやって親子であること隠してたんやろね。なんかダンスレッスンとか行ってたんちゃうっけ。結構人目のつくところなんじゃないのそれ。家に入るときは人目のないときにこそっと裏口とかから入ってたんかね。剣の稽古場とか屋敷内ので出来る場所があるのだろうか。
フィンレイとか城の人たちには自分の家族のことどうやって説明したんやろね。うーん。
幼少リオンっていう偽りの設定がどのようになっていたのかがあんまり見えてこないぬ。まぁこまけぇこたぁいいか!
廊下を歩くリオンにシャルティエが「ぼ、坊ちゃん……」ってめっちゃ遠慮気に話すんよね。
それを「予想の範囲内だ!ヒューゴ様はそういう下らないところは拘られない!僕はそんなヒューゴ様を尊敬しているんだ!」ってもうね。めっちゃ空元気。僕なにも傷ついてないんだからね!!って感じでね。うぅ……。
そしてヒューゴにあまりここには来るなって言われたからマリアンに暫くこれなくなるからって報告しにいったら、マリアンがハッピーバースデーエミリオ!ってクラッカー音。
ここで坊ちゃんの堪えてたものが決壊して、「何のつもりだこれは 僕がこんなことを望むと思ったのか、 僕がそんなに哀れにみえるのか、 どいつもこいつも! エミリオなんていない、僕はリオンだ!」
はい、ここで内緒プルースト一時停止。 布団の中に入ってぐるんぐるん回って泣きました。
辛すぎるだろプルーストォオオオオオオオオオオオオオオオオオ やっぱトラウマですた。
緑川さんの若い声の演技はほんと中学生小学生って感じの子供感があるからなぜか聞いてて恥ずかしくなっちゃうんだけれど(リオンがクールだから余計と)ほんとこの演技ぱねぇわ……。涙腺に一気に来た。
そして再生 「エミリオなんていらないんだ! セインガルド王宮に入り込んでオベロン社に有利な情報を流す道具だ!」
はい、停止。
尊敬しつつも、もうわかってたんやね……orz道具にされてるってorz
シャルティエはヒューゴを危険視しつつも、ヒューゴを愛してしまうリオンのことも理解してしまって、ヒューゴが褒めてくれるかもって励ましてたんだろうなぁ。簡単には引き剥がせなかったんだろうなぁ。引き剥がすには本当の親並にリオンを愛してくれる人が居ないとだもんぬ……。あぁあくっそ悲しいなぁorz
フィンレイと戦闘訓練してるっぽいシーンへ
「私を敵だと思え、両親を殺した奴の仇だと!」
なるほど、幼少リオン偽設定は両親殺されてる、ってわけね。
「ヒューゴ様は確かに坊ちゃんのお父さんですが……いっそ、このまま本当に兵士になってはどうですか?」
七将軍との暮らし、兵士として成長していく過程。シャルティエがこのままスパイやめてここにいようよって言うけれど坊ちゃんおねんねなう。寂しい。
激動の仮面舞踏会。
シャルティエの「あぁんどうかしらリオン?」ってモノマネにくそわろたwwwシャルティエの声優さん好きだわー
仮面舞踏会に紛れ込みグレバムが王様襲撃。警備に来ていたリオンがそれを突き止めグレバム達を倒そうとするところでヒューゴに邪魔されるっと。グレバムを逃せというヒューゴにリオン王宮側の立場として反発。
「王宮暮らしが長すぎて自分の役割を見失ったらしいな。お前の主はセインガルド王でもなくフィンレイ将軍でもなく私だ」
「もうお前の操り人形はおしまいだ!」
王宮暮らしによってようやくヒューゴの洗脳から抜けたんだね。家以外の自分の居場所を見つけられたのは大切。
そしてここからマリアンを人質にされる、とorzこれで完全にヒューゴの言いなり化っとorz
フィンレイ様を毒殺orz「リオン、まさか、お前……なぜだ、答えてくれ、なぜだ、リオン」orzorz
ここのフィンレイの泣きそうな声の「なぜだ、リオン」ってところがあぁあああああ
恨みとか怒りとかじゃなくて、本当にリオンを思っていたからこその悲しみの声があぁああああ
ここでさ、orzここでフィンレイに助けを求めてたらさorzうぅっ
「リオン、私を父と思え。私もお前を息子と思う」って言ってるからさフィンレイ様orz助けを!うぅ……orz
あまりに悲しかったからフィンレイに助けを求めた場合の妄想小説書いてやる!!!!!

『坊ちゃん!?まさか本当にやるんですか!?』
シャルティエの悲痛の声が響く。シャルティエには分かっていた。これが取り返しのつかない大きな選択肢になることが
だが、リオンは何も言うことなく、これからこの場に呼び出したフィンレイへ出すコーヒーを作っていた。そのカップに、ヒューゴに手渡された毒を入れる。
『坊ちゃん……っ!』
傍目には色も何も変わらない。毒をちゃんと入れたのかすら分からない。そんな錯覚に陥りそうになった。空になった小さなビンだけが、毒物がこのコーヒーに入っていることを示している。
リオンは静かにコーヒーをフィンレイが座るだろう椅子の前へと置いた。そしてもう一つコーヒーを入れる。
傍目には冷静に行動しているが、シャルティエには内心のリオンが半ばパニックになるほど追い詰められていることが分かっていた。ただヒューゴに下された命令を遂行しなければという強い焦りが感じられる。
「リオン、待たせたな」
部屋の扉が開き、フィンレイが姿を現した。
「いえ」
小さく呟くリオンの声は普段と変わりないように聞こえる。
フィンレイは用意されたコーヒーの前の椅子に座った。
「お前も座れ」
促されるままに、リオンは向かいの椅子に自分のコーヒーを持って座った。
対面して座ったリオンの視線は、自然とフィンレイの目の前にあるコーヒーカップへと注がれる。
「話というのは、だ……リオン、お前の様子が最近どうにも気になってな」
フィンレイは探るようにリオンの表情を見る。仮面舞踏会から、様子がおかしいように感じていたのだ。何か焦っているような、どこか追い詰められているかのような。昔からそのような様子ではあったのだが、近頃はやけにそれが激しいとフィンレイは感じていた。
「リオン、生まれてすぐ両親をなくしたといっていたな」
フィンレイが見つめる前で、リオンは僅かに瞳を振るわせた。
「実は私も同じでな、どうやらお前を他人とは思えないのだよ」
フィンレイもまた、過去親が居ないゆえの孤独と、居場所を求める焦りを体験したことがあった。リオンの異変はそれから来るものではないか。そうフィンレイは考えていた。同時に、それを助けてやりたいとも。
打てば響く天才的な剣の腕。真面目に、必死に職務をこなす姿。やや人付き合いが苦手そうではあるが、心の底に優しさを秘めている。親がいないが故に褒められなれていないのか、偶に褒めてやれば顔を僅かに綻ばせることもあった。
部下だからというだけでもなく、フィンレイはリオンに対して純粋に好感を抱いていた。
「リオン、私を父と思え 私もお前を息子と思う。もう少し私を頼れ。信用しろ」
ただの上司と部下という関係だけでなく、更により良い関係を、この孤独な少年の拠り所となることをフィンレイは望んでいた。
リオンは目見開き、真っ直ぐフィンレイを凝視した。
同時に、強い焦りによって押しのけられていた今までのフィンレイとの日々が波となって襲ってくる。
動揺しているリオンの前で、フィンレイは微笑んだ。受け入れるのに時間がかかるだろうと、それ以上無理に言葉を押し付けることなくリオンが自分の言葉を受け入れてくれることを待っていた。
沈黙の合間を埋めるように、フィンレイの手がコーヒーカップへと伸びる。
『坊ちゃん!!フィンレイ将軍に助けを求めましょう!?坊ちゃん!!』
シャルティエは叫んだ。コーヒーカップが、フィンレイの口元へと運ばれる。リオンは大きな心臓の音に体全体が脈打ち視界すらぶれてしまうのを感じていた。
親とを思え、頼っていい。そう告げられたフィンレイの言葉が頭の中にひときわ強く響いた。
ガシャン!!
リオンは大きく腕を横に薙ぎ払うようにして、フィンレイの手からコーヒーカップを弾いた。床へと落ちたコーヒーカップが音を立てて割れ、黒い液体が床を濡らす。
フィンレイは僅かに目を瞠ったが、すぐさま冷静を取り戻した。プライドの高い少年のことだ、先ほど放った言葉を同情と見て反発したのではないか、そんなことを考えていた。
だが、リオンの顔は見る見る青ざめていく。
「あ……」
自分のやってしまったことに怯えているような様子だった。
「随分と乱暴だ」
「……」
フィンレイは怒らず、また微笑んで見せた。フィンレイに対して無意識に無礼を働いてしまったことに怯えていると思ったからだ。その反発心すらも受け入れてやりたいと思ったフィンレイは、ただ怒らずにリオンが受け入れるのを待っていた。
一方、リオンは完全にパニック状態だった。
ヒューゴから渡された毒は、あの一瓶しかない。完全に失敗した。ヒューゴの命令を自ら逆らってしまった。
ならば、マリアンはどうなる。
マリアンがいなくなったとき、自分がどうなるのか。あの舞踏会でマリアンが姿を消したとき、どれだけ苦しかったか。
だというのに、取り返しのつかないことをしてしまった。
最悪の事態が頭の中をぐるぐる回る。
「リオン?」
フィンレイは尋常じゃない様子のリオンに眉を寄せた。さすがに様子がおかしい。顔は真っ青で、体が小刻みに震えている。何かに、強く怯えている。
「リオン、どうした。私は別に怒ってなどいない」
「……あ」
肩を揺さぶられ、リオンはフィンレイを見上げた。
「……フィンレイ様……」
フィンレイに掴まれた肩の温かみと、大きな手に支えられる感覚が少しばかり冷静さをリオンに与えた。
助けを求めましょうと叫んだシャルティエの言葉と、頼れといったフィンレイの言葉が甦る。
「……たすけ……て」
「リオン?」
告げたと同時に、リオンの思考は一気に回転しはじめた。
助けを求めて、どうなる?マリアンはヒューゴ邸に居る。ヒューゴの直ぐ近くに居る。
フィンレイがそのままヒューゴ邸に行ってヒューゴに話しをつけるとでも?いいや、フィンレイがヒューゴ邸に現れた時点で暗殺の失敗がヒューゴへ露呈する。それどころか、裏切ったことさえも。ならばマリアンは無事ではすまない。
今も刻一刻と、マリアンの命は危険に晒されている。フィンレイに話をしている余裕さえない。
リオンはフィンレイの手を振り払い、脱兎のごとく駆け出した。
「リオン!?」
直ぐに、マリアンの元へ。そして、逃げなければ。どこか遠くへ、誰もいないところへ。
逃げ出したリオンの姿に呆気にとられていたフィンレイは考え込んでいた。
助けてと、そう告げたリオンの言葉を。
フィンレイの言葉に反発したとか、受け入れがたかったとか、そんな話ではないことは既に察していた。
彼は何に怯えていた。何から助けて欲しいと私に縋った?そう考えながらもとりあえず追いかけようとフィンレイは一歩踏み出す。カチ、と何かを踏んだのに気づいてフィンレイは床へ目を向けた。
割れたコーヒーカップの破片だった。
「……」
フィンレイは目を細めて真っ黒い液体を見た。
リオンはマリアンを連れて森を走っていた。まともに説明もされないまま森の中を走らされたマリアンの疲れは激しい。
リオンは何度も巻き込んですまないと告げた。
ダリルシェイドにはもう居られない。どうにか、少しでも遠くへ。オベロン社と出来る限り関わりの薄い場所へ逃げなければと、マリアンの手を引っ張り走る。
オベロン社と関わりのない場所……そんな場所、あまりに少ないことはずっと前から分かっていた。あのカルバレイスにすらオベロン社支部があるのだ。だからこそ、マリアンと逃げる道を今まで諦めていた。
それでも、今はもう、やるしかない。
馬を盗む間も無かった。どうにか人目のつかない場所を行かなければ。
『坊ちゃん!』
シャルティエから警戒を促す声が飛ぶ。リオンは足を止めてマリアンを背に周囲を見回した。
木々の間から山賊と思しき者達が二十人近く現れた。
リオンは歯をかみ締めた。物取りの為に来たわけではないことが分かったからだ。裏にヒューゴが絡んでいるに決まっている。やはり行く手を阻んできたのだと、この先を思うと目が眩む思いだった。
「リオン……」
「おお、おお、まだガキじゃねぇか。それに綺麗なお姉ちゃんつきとはなぁ」
「殺す気でやれって話だが、こりゃもったいないもんだなぁ」
震えるマリアンの手をぎゅっと握り締めた後、リオンはシャルティエを抜いた。
「……シャル、頼んだぞ……本気で行く」
『はい!』
マリアンを守りながら、それも長時間走り続けた消耗した体では、いくらソーディアンを持っていようともどんどんと追い詰められていった。マリアンを守るために動ける範囲は限られている。
「エミリオ!私のことはもういいわ!!逃げて!」
「駄目だ!」
晶術を使うには詠唱する時間が足りない。相手が多すぎる。
山賊の刃がリオンの体を次々傷つけていくのを見てマリアンは喉の奥で悲鳴を上げた。
「やめて!!」
声を張り上げ、思わず自分を必死に守ろうとするまだ幼い体へマリアンは腕を伸ばす。そのとき、思い切り髪を引っ張られた。
「いやっ!」
「マリアン!!」
「ったく、とんでもねぇガキだ。次々と斬っちまいやがって。おら、剣を捨てろ」
マリアンの髪を掴んだ山賊は剣を首元へと持っていき笑みを浮かべた。
「マリアンには手を出すな!」
「さっさと剣を捨てろ!!」
ギリリ、と歯を噛み、リオンはシャルティエを地面へと落とした。すぐさま近くに居た山賊がシャルティエを蹴り飛ばす。
『坊ちゃん!』
シャルティエを蹴飛ばした男はそのままリオンの髪を掴み地面へと押し倒した。
衝撃に目を瞑りながらも、リオンはマリアンへと視線を向ける。自分の身に全体重をかけて馬乗りになる男が居ようが、彼の関心は大切な女性一人に向けられた。
「待て!マリアンを離せ!!彼女だけは!」
今まで剣や術で散々痛めつけられた山賊はにやにやと笑いあう。
「さぁて、とりあえず捕まえるときは殺す気で、とは言ってたが、出来るなら生け捕りを所望だったぜ?どうする」
「これだけ派手にやられたんだ。生かしはしてやるものの……なぁ?」
マリアンとリオン、両者に群がるように山賊が詰め寄ってくる。ギラギラと欲にまみれる目と興奮に上がった息にリオンは何とか暴れようとするも、地面に縫い付けらたように体は動かせない。
「クソッ、クソ!!離せ!!マリアンには手を出すな!!!」
山賊がマリアンへと詰め寄る。マリアンは気丈にも凛とした態度で山賊を睨みつけていた。そんな彼女に、山賊の手が伸びる。
リオンの目の前が眩んだ。
僕のせいだ、そうリオンは思った。巻き込んだ。僕が彼女に想いを寄せさえしなければ。もっと力があれば、彼女を守りきる力さえあれば。
この先には、もう絶望しかない。世界から色が無くなっていくような、そんな絶望しか。
「ぎゃあ!」
山賊と思しき男が突如情けない声を上げた。
眩んだ視界、焦点が合わなかった目がゆっくり視界を取り戻す。
次々に、山賊の影が地面に倒れていく不思議な光景をリオンは見ていた。
「な、何だお前!」
「こいつ……っ」
「リオン!立て!」
力強い言葉と同時に、リオンの体を押さえつけていた圧力が突如なくなった。
リオンはバネのように体を起こすとマリアンへと駆け寄った。彼女の近くには山賊が倒れていた。彼女は誰に捕らわれることなく座り込んでいた。
「マリアン……っ!」
マリアンの体をぎゅう、っと抱きしめる。マリアンもまたリオンの背に腕を回し力を込めた。
その二人の近くに剣が突き刺さる。シャルティエだ。リオンはマリアンから手を離し、シャルティエを握って振り返った。
そこには、フィンレイの拾い背中があった。二人を守るように、山賊と対峙していた。
「フィンレイ様……」
「リオン、助けに来たぞ」
フィンレイは山賊を睨んだまま、そう力強く告げた。
「まだ戦えるか?」
「……はいっ!」
リオンによって結構な人数を倒された後であり、また完全に気を抜いていたところをフィンレイに不意をつかれ、山賊の頭は既に地面に沈んでいた。
形成は一気に逆転した。逃げ出すものも居る中、未だに向かってくるものは誰もが地面へと沈むこととなった。
立っているものが三人だけとなったとき、マリアンはリオンの小さな体に飛びついた。
「エミリオっ!エミリオ……良かった……っ!」
「マリアン、ごめんっ……!」
マリアンの体重を受け止め、再びリオンは強くマリアンを抱きしめる。
その様子を暫く見た後、フィンレイは声をかけた。
「残党がいるかもしれない。ひとまずこの場を離れよう」
森から完全に抜けることはせず、離れた場所へ少し歩いたところでフィンレイはマリアンの休憩とリオンの傷の手当ての為に足を止めた。
「傷は浅いな。あの状況でよく持ちこたえていたものだ。さすがだな」
特に応急処置の必要な箇所はなさそうだと、フィンレイは安堵の息を吐いた。
リオンの瞳はやや虚ろだ。連れのマリアンも同じ状況だった。それだけ精神が疲れたのだろう。それだけ危険な状況だった。間に合って本当に良かったとフィンレイは思った。
疲れているところを悪いと思いながらも、フィンレイは口を開く。
「さて、リオン」
虚空に向けられていた視線が、ゆるゆるとフィンレイへ向いた。
「お前を脅し、私の毒殺を命じたのは誰だ?」
フィンレイがそう告げた途端、リオンの目にさっと光が戻って緊張が走る。マリアンが目を瞠り「エミリオ!?」と声を上げた。
「フィンレイ様!!私の命はいかようにしてもらっても構いません!!ただ、マリアンだけは!!」
一気に焦りに駆られたリオンの姿にフィンレイはやや気圧されながらもリオンの肩に手を当てる。
「エミリオ!」
「そうじゃない、リオン」
「お願いします!」
「リオン!」
強く名を呼ぶことで、漸くリオンの言葉が途切れた。
「言っただろう。私はお前を息子と思う、と」
不安気に眉を寄せたままリオンはフィンレイを仰ぎ見る。
「お前は脅されていただけなのだろう?そして、私の為に身を危険に晒したのだろう?……私に、助けを求めたのだろう?」
リオンは答えないが、フィンレイは質問をしながらも自分の答えに既に確信を持っていた。気にせず、力強く告げる。
「もう一度言うぞ、リオン。私はお前を、助けに来た」
リオンの体から力が抜けた。崩れ落ちそうになる細い子供の体をフィンレイは抱きとめる。
どれだけ気を張っていただろうか。たった一人で彼女を守ろうと必死になっていたのだ。可哀想に。
リスクを負って私に毒を与えることなく助けを求めた彼の期待に全力で応えなければ。フィンレイはそう意気込む。
「まずは事情を話してくれ」
リオンに優しくそう告げたが、フィンレイは突如背後へ振り向いた。人の気配がしたのだ。
「馬鹿げた話だ。それに父親は二人も要らぬ」
びくん、とリオンの体が揺れた。木々の死角から真っ黒な不気味な剣を片手に持って歩いてくる男の姿があった。
フィンレイは確信する。こいつだ、と。
「ヒューゴ・ジルクリスト……なるほど、貴様か」
「リオン……己の選択を悔いるがいい」
危険視していた男の姿にフィンレイは顔を顰め、剣を握る。リオンはコーヒーを弾いたときのように怯えを見せている。やはりそうだ、この男だ。
フィンレイが言葉を投げかける前に、後ろに座っていたマリアンが木を支えに立ち上がり叫んだ。
「ヒューゴ様!どういうことですか!何故エミリオに毒殺など命じたのですか!?」
「メイドごときがしゃしゃり出てくるな」
ぴしゃりと、ヒューゴは冷たく言い切る。フィンレイもマリアンも眼中に無いと言った様子で、ヒューゴはリオンへと冷たい視線を向けた。
「シャルティエを構えろリオン。お前の考えがどれだけ浅はかだったのか、身をもって知らしめてやろう」
黒い剣、ソーディアン・ベルセリオスがリオンへと向けられる。リオンの瞳が揺れた。
「リオン、しっかりしろ。私がついている」
『そうですよ!坊ちゃん!もう、ヒューゴの支配から抜け出すんです!』
フィンレイとシャルティエの激励で、リオンは自分の足を奮い立たせる。
そうだ、操り人形はもう、御免だ。ここで、打ち勝ってみせる。そうリオンは決意し、シャルティエを実の父親へと向けて構えた。
だが、ヒューゴの力はあまりにも圧倒的だった。
『坊ちゃん!晶術がきます!そんな……こんな早さで!?』
上級晶術があり得ない早さで紡がれる。二人掛りだというのに、鬼神の異名を持ったフィンレイがいるというのに、傷一つつけることが適わなかった。
圧倒的な晶術の力の前に、二人して地面に這い蹲ることになった。
土の味と共に絶望を再びリオンは味わっていた。
何故、こうも歯が立たない。あれだけ稽古をしたのに、あれだけ努力してきたというのに、なんでこんなにも力が足りないのだ。抗うことの出来ない絶対的な存在を前にただリオンは地に手をつくことしかできない。
フィンレイの声から苦痛のうめき声が上がる。ヒューゴがフィンレイの頭を踏みしめていた。そして無慈悲にも向けられる黒い刃に、リオンは震える。
「や、めて……やめてくれ……」
これから起こるだろう絶望に体中から血の気が失せる。
「やめてください……ヒューゴ様……」
リオンは必死に希った。
「父上……」
その呼び方に、何の力もないと知りつつも、縋らずにはいられなかった。
だが、その言葉に反応したのはヒューゴではなくむしろフィンレイだ。
「き、さま……ヒューゴ……外……道め……」
息子に殺しを命じた男への怒りがフィンレイから溢れる。
ヒューゴは虫けらを見るような目でフィンレイを一瞥した後、リオンを見下ろす。
「この程度だ。そう、この程度。誰も私に勝てやしない。リオン、己の力量と相手の力量を計り違えるなよ」
「あ……お願いします……やめてくださ……」
「お前にはもう一度チャンスをやろう。これで学べ。二度と過ちを犯すな」
黒い刃が振りかぶられる。リオンは目を大きく見開き、マリアンは顔に手を当てて震えた。
「私は計画の為ならば、その邪魔をするものを躊躇なく切り捨てる。よく、覚えておけ」
「やめろぉおおおおおお!!!」
「いやぁあああ!」
あの大きな背中に黒い刃がつきたてられるのを、リオンは瞬きを忘れてみていた。その瞳はベルセリオスの刃の色を移したように翳っていく。
「あ……フィンレイ様……フィンレイ様……」
ベルセリオスが引き抜かれ、真っ赤な血が一気に噴出す。
リオンは張ってフィンレイの元へと近づいた。何度も何度も名前を呼ぶが、フィンレイは二度と応えることはなかった。
リオンの様子を汚らわしいものを見るように蔑みを込めてみているヒューゴの背後にレンブラントが現れる。
「ヒューゴ様……」
「レンブラント、遅い」
「申し訳ありません」
「マリアンを連れて行け」
ぴくりと、リオンの肩が跳ねた。レンブラントの手がマリアンへと伸びる。
リオンは動けなかった。マリアンから悲痛な声が上がる。
「ま、待って……」
「マリアンはまだ生かしてやる。マリアンの寿命はお前次第だリオン……わかっているな?」
「……」
「エミリオ!!エミリオォぉおお!!」
レンブラントに引っ張られ、マリアンは森の奥へと姿を消した。リオンはそれを見ていることしかできない。
喉が凍りついたように声がでず、体中から血が抜けたように四肢は冷たく動かない。ただ、ヒューゴの声だけははっきりと聞こえてくるのだった。
「はて、筋書きは……そうだな、突如現れた山賊に完全に不意打ちをくらったお前は人質となった。フィンレイ・タグはそれによりまともに戦うことが適わず死亡。その最中、フィンレイの尽力により逃れたお前が満身創痍ながらも山賊を一網打尽にした。といったところだろうか」
反応のないリオンに苛立ち、ヒューゴは念を押す。
「わかったな?」
「……はい」
抜け殻のようになってそう呟いたリオンにヒューゴは口角を上げながらシナリオ通りに動かす為の準備を始めた。
あのリオンの様子はフィンレイを失ったが故だと皆思うだろう。好都合だと、喉の奥で笑った。
ことはヒューゴの思うがままに納まった。七将軍はフィンレイの死を嘆き悲しんだ。
「おのれ……おのれぇ!兄じゃ……なんてことだ……」
「こんなことになるなんて……」
「リオン、大丈夫かしら……自分のせいだって思っているのね、きっと。ずっと塞ぎこんでいるわ……」
「兄じゃの変わりに、しっかり支えてやらねぇと……」
その裏で、リオンは傷の手当を受けながらもベッドの上で身を丸めて瞳に闇だけを映していた。

ダメじゃねぇか!!!!!!!!!!
ヒューゴ様強すぎorz坊ちゃん雁字搦めまじかわいそうorz 内緒妄想のヒューゴ超強いです。だってパワーアップ前ソーディアンもち四英雄+αを一人で圧倒的なパワーで倒したんだもんまじチート。
てか妄想してて気づいたのですがオベロン社全世界展開しすぎててリオン逃げ場ねぇ……orz
オベロン社介入していない町や村がいくつかあっても、むしろオベロン社がない場所を白み潰されそうピャアアア
ルーティと違ってリオンは既に情報を色々持ってるから放置されずに殺されるだろうしなぁorz
なんてこった……絶望しかないわorz
仮面の男(真ヒューゴの思念体かなんか?)に告げられたルーティを捜し求めてクレスタへ
シャルティエがここでクリスの言葉を思い出して、ルーティが姉だったと分かる。
ルーティに会おうと告げるシャルティエ、ルーティから逃げるリオン。
「15年間も離れ離れだったんだ!今更家族もあるまい!」
もうね、リオンを説得しようとするシャルティエの声が、やばい。
「坊ちゃんはずっと家族を求めてた!!」
超必死なシャルちゃん…・・・うぅ。
「僕は汚れすぎた。ルーティには家族が居る。僕は姉さんが妬ましいんだ」
そうやよねorzそうだよねorzそりゃ妬ましくも思うよorz
「それに、もしルーティが僕を受け入れなかったら、僕は本当に独りだ」
orz
海底洞窟へ。
「リオン、死ね」「父の為に死んでくれ」
ミクさんまじ鬼畜ああああああああああああああああああああああああああああああ
お前あほみたいに強いんだから一人で戦いにいけやああああ!!!!
最後にマリアンにあわせてって頼むリオン君。マリアンとリオンの最後のお話し合い。
はて、マリアンは無理やり連れてこられたとかじゃなくて、普通についてきちゃったのね。イレーヌと同じようにヒューゴの世界に共感したんだろうなぁ。でも本当のことは言われてないだろうけどね!
孤児だったのを雇ってもらえたからヒューゴに恩義を感じてらしいけれど……あー……そうやって気づかない間にリオンを貶めることになっちゃうんやね。それもまた悲劇やなぁorz
「僕がもし死んだら、どうする?」「きっと、ずっと泣くわ」「どれくらい?一週間かい?一ヶ月かい?一年!?」「一生よ、きっと」「嘘だ!一生も泣けるわけがない!」
きっといつか忘れてしまうんだ。僕はどこにもいなくなるんだって坊ちゃんの慟哭あぁん。
しかし、このリオンよく泣くやつである。プルースト内で何回泣いた。
状況的に当然なんだけれど、ちょっと数が多すぎるとそういう考えが過ぎっちゃうから困っちゃうね!うちのジュダリオンちゃんは涙だいぶ枯れてるからここまでは泣かないんだなぁ。
そして、全てを共に見てきたシャルティエとリオンの最後のお話。めちゃくちゃ涙腺にきた……。
「僕に付き合う必要はない。眠れ。そして千年後にでもまた新しいマスターの元に行くといい」
断固拒否するシャルティエたんまじ男前。
「シャル、僕の命令に初めて背いたな」
「そうですね。はい……そう、ですね……」
シャルティエ泣いたぁあああああああああ!!!!ぐすんぐすん言うテルううううう!もうここのシャルティエの泣きに内緒も泣くわぁああああ
はて、こっからプルーストは超展開へ。
正直原作通りに行くものだと思ってたから初めて聞いたときは目が点になったww
今聞いてもちょっと一人犠牲エレベーター並みの何かを感じるけれど、まぁそれまでがよかったからええねん!
リオンがどのように過ごしてきてたのか分かりやすくていいですよね。
あぁ目が痛い。目がはれぼったい。泣き過ぎた。プルーストはまた押入れに封印します。
シャルティエとリオンの声優さんの演技力ぱねぇ。
ミクinヒューゴさんが内緒の思うとおりのゲスっぷりでした。
そしてフィンレイさんの口調を確認する為に封印といたのに、そんなに喋ってないからあんまり参考にならなかったよ!!!!!!!!

Comment

  1. カーリー より:

    フィンレイ様が毒殺されなかったIF展開ですが、内緒さまのおっしゃるとおり、やはりヒューゴiNミクトランは自分の望む状況に筋書きを整えてしまうんだろうな…と思えてしまうのがホントぼっちゃんの運命は残酷です…
    そしてヒューゴさんまじ晶術つよい。ミクトランブースターもあるんでしょうけど、ヒューゴさん自身のマスターの資質はどのくらいだったのでしょうね…(ただ、学者だったので、剣は全く使えないイメージです。フィリアさん的な)
    パパにラスボスが憑依してるとかデスティニーはほんと妄想がはかどります…!

    • 内緒 より:

      ほんと坊ちゃんの運命残酷でした……。まじめにフィンレイ様に助けを求めたIFの熱いストーリーを妄想してたのに逃げ道がありませんでした……(震え声)
      やっぱ四英雄を強制負けイベにぶち込んだお方ですからチョー強いに違いないと思いまして!! ヒューゴさんの状態はどうなんでしょうね。もう完全にミクトランに支配されている状態ってことでヒューゴの素質なんて関係なくミクトランが好きに使えたのかもしれません(´・ω・)それ故にシンクロ率が高くて能力が高かったのかもしれませんね。
      そうなんですよねぇ……っ! パパにラスボス憑依しちゃってるんで坊ちゃん姫をお助けする妄想が滾るんですよねぇ~~!