【TOD2】 dive 続き – 23 –

diveTOD2
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あかん……全然小説の手がすすまへん/(^o^)\
もうこれは、清書時大幅修正するのを見越して、ちまちまUPしよう……そうしよう。
後々書く予定のところばっかり妄想ちまちましてて現在のところが進まないのよネ!



目を開ければ、そこは暖かな陽の光に照らされた草原だった。遠くには町が見える。
あの何もない狭間の世界でも、宿屋の一室でもない。間違いなく、違う世界に来ている。ここは、ジューダスのコスモスフィアだ。
「……やったっ!」
思わずそう漏らした。一度切れてしまったジューダスの精神世界へ、ハロルドは再び繋いでみせたのだ。
一時は本当に、どうなることかと思った。ここはジューダスの精神世界。ここにいる限り、ジューダスの精神に触れることができる。何かしら、変えることができるはずだ。
無事に精神世界へと降り立ったことから、希望がみるみる胸の内に広がっていく。
だが、本番はここからだ。そう自分に言い聞かせて気を引き締めた。今はまだ、可能性が生まれただけの状態。ここからジューダスを取り戻せるかどうかは、全て俺次第だ。
ゆっくり、この世界を見回した。ハロルドが言うには、ここは第八階層だ。
しかし、この世界は今までの世界とは異なっていた。本当に精神世界なのかと疑う程に、この世界には現実に起こりえない異常な存在が見あたらないのだ。
まず、第一階層から第七階層までずっと存在し続けていた鎖がどこにも見当たらない。空は晴れており、雲が優雅に流れている。鎖も、壁も、あの神の手も、どこにもなかった。ただ青い空と草原と山。草を刈り取られた通り道が町に続き、その町の向こうには海が見える。
その景色に、ジューダスのコスモスフィアの象徴ともいえるものが何もなかった。
ここを、俺は知っている。現実世界の地形と全く同じだ。ならば、あそこに見えている町は、きっとクレスタだ。
この世界は……異常なまでに、現実世界そのものだった。
第八階層のジューダスは第七階層を崩壊させ、リオンを殺した。そんな人格が住む世界なのだから、第六階層や第七階層のように、もっと冷たく恐ろしい世界が広がっているんじゃないかと、なんとなくそう思っていたのに。
……それにしても、ジューダスの精神世界にはクレスタやそれに似た町が本当によく出てくるな。
遠くに見えるクレスタを見て、ふと思った。
ジューダスがエルレインにより甦らされてから、どれだけ経ったのかは知らないが、あの雁字搦めのダリルシェイドで生きてきた時間の方が長いはずだ。だというのに、何故こうもジューダスの精神世界には、住んだことすらないだろうクレスタの町や、それによく似たヨウの世界の町が出てくるのだろうか。
それらはカイルや俺、時にナナリーが住む町として出ているだけであり、ジューダスは常にそこの住人ではなく客人のような存在だった。
なんだか、無性に切なくなった。死して十八年が経った世界に突如甦らされたその苦しみが、垣間見えた気がした。
彼が必死に守っていたマリアンさんという居場所も、ヒューゴの駒という居場所も、騒乱から十八年後の現代には、もう存在しない。
ジューダスは、この世界のどこにいるだろう。
俺はクレスタの町に向かって、ゆっくり歩みを進めた。
辿り着いた町は思った通り、現実のクレスタと同じだった。広場も、畑も、そこで働く爺さんも、よくカイルが悪戯に鳴らした鐘も、何ら現実と変わりなかった。どこもかしこも、俺の記憶しているクレスタだ。ヨウの世界ですらない。……現実世界と全く同じ作りになっている。ここは本当に精神世界なのだろうか。そう疑ってしまうほどだった。
俺は見慣れたクレスタの町をキョロキョロと見回しながら、孤児院へと真っ直ぐ歩いた。狭い町だ。すぐに辿り着く。
孤児院と町を繋ぐ短い橋を歩いていると、聞き覚えのある掛け声と共に何か木の棒を打ち合わせるような音が聞こえてきた。カイルあたりが誰かと戦闘訓練でも行っているのだろう。そう見当つけたのと違いなく、程なくして眩い金髪が元気よく動き回っているのが遠目から見えた。
そして、そのカイルの相手をする者の姿に俺は表情を硬くする。あぁ、間違いなくここは現実ではない。
「お、いい動きするようになったじゃないかカイル」
余裕をもって楽しそうに笑うその人は、スタンさんだった。
いつだったか、確か、第三階層でもこれと全く同じような景色を見た。そうだ。この世界は、あの第三階層とほぼ同じだ。突如、世界が現実へと変貌した、あの時の第三階層と酷似している。
「あ、ロニじゃないか。どうしたんだ?」
「ロニ!」
よく似た親子が俺に向けて片手を振る。俺は応えるように片手を上げた。
さすがにもう、あの時のように取り乱したりはしない。現実外でスタンさんを見るのはこれで三度目だ。
スタンさんとカイルに挨拶をしつつも、頭ではこの状況が一体ジューダスの何を表しているのかを懸命に考えていた。
第三階層と今の状況は酷似している。精神世界だというのに現実そのもので、でも、現実にはありえない人……スタンさんが生きている。
スタンさんが、鍵なのだろうか。スタンさんなら、何かジューダスのことを知っているのではないだろうか。
「ねぇロニ、今日はパン屋休みなの?」
「……ん?」
思考に耽っている中、突如尋ねられたカイルの言葉に俺は首を傾げた。パン屋? 休み? クレスタにパン屋ってあったっけか?
「なんだ、お前パンでも買いにいくのか?」
「ん? 違うよ。だってロニがここにいるからさ」
「……?」
「パン屋での仕事には慣れてきたか?」
噛み合わないカイルとの会話に頭が疑問で埋め尽くされかけたが、スタンさんからの言葉でようやく合点が行った。どうもこの世界では俺はパン屋で働いていることになっているようだ。……何でだろう……。
「あー……あぁ。えぇ、うまいこと行ってますよ」
適当に乾いた笑いを浮かべて必死にごまかす。パン屋の仕事なんて知らねぇぞ俺は。まぁ、そんなことより、だ。
「今日、ここに来たのは……ジューダスの居場所を知りたくて、なんですけど」
二人は何か知らないか、と続けようとした言葉が喉の奥で消える。予感があった。この問いに対して二人がどう答えるのか。デジャヴというやつだ。こんなことが、前にもあった。
「ん? ジューダス? 誰それ」
カイルから告げられた言葉に俺は口も目も閉ざして沈黙した。
あぁ、やっぱりそうなのか。第三階層と同じだ。ジューダスのことを、カイルは覚えていない。忘れているというよりは、会ったことがない世界として想像されているのだろう。

Comment

  1. なかむら より:

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  2. 内緒 より:

    ただいまぁああ!!! 初めまして! 内緒にございます! なかむらさん、ようこそいらっしゃいました!
    密かに通って頂いてたようで、ありがとうございます><
    プレイ日記まで読んでいただけるなんてっ! いやぁ嬉しいです むふー。(喜)
    小話読んでくださりありがとうございます! ナナリーがジューダスに同情するお話はオチが全くないっていう自己満足ものなんですが、内緒はナナリーがジュダ心配してるだけで萌えるんで個人的にあの妄想は本当に楽しかったんです! 同じ気持ちを共有してもらえていると思うと凄く嬉しいです!
    ルーティとリオンの突発再会話に触れてくださりありがとうございます! 個人的に戻ってきてから書いたお話の中で一番気に入ってるお話かもしれません! 好きなところだけ書いたひどい駄文ですが、でも中身はほんと気に入ってるんですw そう言ってもらえると本当にすごく嬉しいです!
    当時は届かなかった想いが、何年も経って、ようやく届くようになったっていいですよね。何よりリオンの片想いが浮かばれる形はやっぱ嬉しいものです///
    たくさんの感想ありがとうございます! おかげさまで凄く幸せですムヒヒー!
    またいつでもお越しくださいまし!