【TOD2】 dive 続き – 25 –

diveTOD2
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前回もたくさんの拍手ありがとうございました!
うおおおおおおお やっと書けたよぉおおおおおおおお!!!!
はてさて、第八階層クライマックス!
昏々とジューダスを説得するロニちゃんのお話ですw
内緒としましては、diveは第七階層・第八階層を書きたいが為にやったようなものなので、ここまでかけたらもう本望ww
あとはもうエピローグって気分でつらつら書く感じですかね!
でもエピローグもすごく気に入っている場面とかあるので頑張って書いていきます><
多分エピローグまでの壁が第九階層だと思うwww ふわーっとなんとなくで流れを妄想しているものの、細かく妄想終えてないからまた筆止まるんだろうなww
途中から書いてて砂吐きそうになった^p^ おろおろろろろろ


 
 ■■
 
 夜の森は暗い。月や星の出ている空以外は真っ黒だ。気を抜けば迷い込んでしまいそうな森に心臓を冷やしながら歩いた。
 目指すは、あの辺鄙な場所。
 あいつのことを正しく理解している者だけが知っているだろう場所。
 エミリオの墓。
 真っ黒に塗りつぶされた木々の隙間から、仄かに月明かりが見え始める。もうすぐ、あの開けた場所に出る。
 
「……ジューダス」
 
 そして、そこに、居た。
 月と星の光を受けて、巨大なレンズが淡く光っている。
 小さな墓石の後ろに、ラグナ遺跡で見たような巨大なレンズが浮かんでいた。巨大なレンズにコスモスフィアで幾度となく見た黒い鎖が絡み付いている。
 そのレンズの中に、体を丸めて眠っているジューダスの姿があった。象徴とも言える骨の仮面は被っていない。晒されている素顔は、やけに穏やかに見えた。
 
 あぁ、やはりか。ここにいたのか。見つかって、よかった。
 そう思う反面、胸に溢れて肺を圧迫したのは、悲しみや怒りだった。
「……っ! ……馬、鹿……野郎……!」
 思わず、そう呟いた。
 こんなところにしか、こんな形でしか、居場所を見つけられなかったというのか。
 誰からも死者として扱われる場所。墓石の住人として、遺体のようにして眠っているしかないと。
 どうしてだ。
 俺たちが出会ったあのダリルシェイドの部屋に居てくれたら良かったのに。クレスタの住人としてちゃっかり紛れ込んでいてくれたらよかったのに。仮面を被った不審者としてその辺をうろちょろ旅しててくれたらよかったのに。
 何で自らの存在を死人として扱うんだ。
「おいおい……ジューダスさんよ……ここが、お前の居場所だというのか? ……馬鹿言うんじゃねぇよ……お前は、……お前は! まだ、生きてるだろうが!」
 “僕はもう死んでいる”と、崩壊していく世界で彼は呟いていた。
 これが、第八階層の想いだというのか。
 十八年後の世界で、帰る場所も行き場所もなく、悪名だけが馬鹿みたいにでかくなってて、そうして追い込まれた結果、自分の居場所はここしかないと、そう、結論付けたっていうのか。
 冗談ではない。ふざけるな。今更、死んでるなんて馬鹿言うな。
「お前が死んでたら、俺らとは会えなかったろうが! カイルと俺は今頃アタモニ神団の奴らに牢屋にぶち込まれていたかもしれねぇ! フィリアさんを助けられなかったかもしれねぇ! お前が生きてたから俺たちはやってこれたんだろうが! お前が生きてる証が、沢山沢山、あるだろうが! 勝手に目ぇ瞑ってんじゃねぇよ!! なんでっ!」
 どうして、俺はお前の帰る場所へとなれないんだ。
 俺たちと一緒に、クレスタの町に溶け込んでいてくれたらいいのに
 それで、いいのに
 どうしてカイルから記憶を消して、こんな場所に閉じこもってるんだ。
「なんでこんなところにいるんだよ!! なんで俺たちのところにいねぇんだよ!?」
 悔しい。裏切られたかのような気分だ。
 リオンであることを明かしてからも共に居ることで、心を開いてくれたのだと思ったのに、お前は未だに俺たちの隣にいる世界を想像できないというのか。
 どうして、なんでだ。
 リオンだと明かされた後も信じ続けると、そう伝えた時に見せたあの安心した顔は、どこへ行ったんだ。俺はお前にずっと、あの顔のまま隣にいて欲しかったのに。
 
 死人の如くレンズの中で目を瞑るジューダスはうんともすんとも言わない。
 これがお前の望みだというのか。これが、お前の世界だというのか。
 ふざけるな、こんな世界は、認められない。認めてなるものか。伝えたい言葉が沢山あるのに。お前は、俺の気持ちを何も聞かないまま、そんなところに引きこもって全部聞かないでいるつもりかよ。
 
 畜生、こうなったら叩き起こしてやる。
「おい、聞いてんのか!? ジューダス!!」
 レンズの前まで駆け寄り、その勢いのままレンズを殴りつけた。縋るようにへばり付き、何度も何度も殴る。
 穏やかそうに眠る顔が気に食わない。
「起きろよ、クソ! 起きろ! ……起きて、くれよ……っ」
 最後にレンズを殴った言葉が、力なくずるずる落ちる。どれだけ情けなく縋っても、ジューダスは起きなかった。
 
 深く、息を吐く。
 俺は、何をしているんだ。
 こいつは情が厚く押しに弱いが、自分の信念は曲げない奴だ。いくら俺がこの場で嘆いて見せたって、何も状況は変わりやしないのだ。
 俺がやるべきことは、しがみ付いて嘆くことじゃない。
 
 挑むように、レンズを睨みあげた。
「……悪いな、ジューダス。俺は、てめぇの信念、ぶち壊すぞ」
 それはコスモスフィアにおいて危険な行為なのかもしれない。それでも、ジューダスが信じるこの世界を、俺は認めてやれない。
 レンズにそっと触れる。これを壊しても、中のジューダスに被害は及ばないだろうか。
 注意深くレンズを観察した。レンズは薄い殻のように見える。卵みたいだ。だから、きっと大丈夫だ。外側の殻だけ破壊してしまえばいい。そして、ジューダスを引きずり出せばいい。
 
 今、手元に武器のハルバードはない。辺りを見回し、何か代わりになるものを探す。暗くてよく見えないが、何でもいい。何か固いものなら。
 ――あるではないか。
 
 足元にそっと置かれているジューダスの本当の名前が掘られた小さな石。
 ルーティさんの想いが詰まったその石を勝手に触ることに躊躇いもしたが、すぐに払う。
 この精神世界で、“墓”としての意味しかもっていないのなら、この石には、何の意味もない。
 
 片手でその石を掴み、持ち上げる。
 そこらに転がっている石と、重みは何ら変わらなかった。
 石を片手に、レンズの中のジューダスを見る。一歩近づき、大きく右手を振りかぶった。
 
「待って! ロニ!」
 
 突如かけられた声に俺は随分と驚かされた。さっきまでは気配も音も全く感じさせなかったというのに。
「……カイル?」
「それを壊しちゃだめだよ!」
 後ろを振り返れば、顔を随分と強張らせたカイルがいた。
 俺は目を細め、思わず反抗的な態度を示す。カイルに対してこんな思いを抱くのは初めてかもしれない。だが、目の前にいるこいつはカイルなんかじゃない。ジューダスの意思が働いて動かされているようにしか見えなかった。
 大方、閉じこもっていた殻が壊されそうになって焦ったのだろう、と。
「……悪いけど、壊す。俺が探してた仲間ってのは、この中に入ってるジューダスのことなんだ」
「ま、待って! ロニの気持ちはわかるけど、でも!」
 こいつと話したって時間の無駄だ。そう思って俺はカイルから視線を離し、再びジューダスへと目を向けた。
「待って! 話を聞いてよ、ロニ!!」
 カイルが俺のもとへと駆け寄り、再び振り上げようとしていた右手に抱き着く。
 邪魔をするなと叫んで振り解こうと思った。だがその前に、カイルが叫んだ。
 
「それを壊したら神が復活するんだよ!?」
 
 思いも寄らぬ言葉に体が硬直する。
「は……?」
 神? 何で突然、神なんて単語が出た? 何がどう関係するというんだ。
「せっかく神を殺したのに、それを壊したら、また神が現れるよ? 歴史が、改変されちゃうよ!? ロニはそれでいいって言うの!?」
 意味が分からない。
「どういうことだよ……」
「俺、覚えてないけど……でも、沢山辛い思いをして、この道をちゃんと選んだ!」
「……カイル……?」
「ロニも一緒に選んでくれたじゃないか! なのに、なんでその選択をなかったことにするような……神を復活させるようなことをするんだ!」
 突然話があべこべになった。何だ、どういうことだ? 状況とカイルの話が全く繋がってこない。そもそも、神を殺したとか、選んだとか、どういうことだよ。それは、現実世界でこれからやることで……。
「……なんで、このレンズを壊したら神が現れるっていうんだ……? ジューダスは、神じゃない」
「そこにいる人は神じゃないけど、そのレンズを壊したら神を復活させてしまうんだよ」
 どうして、と言葉を告げる前に、カイルが口を開く。いつもは空色をしているカイルの目は、夜空を映して随分と暗く見えた。
 
「その人、神がいる世界でしか存在し得ない人なんじゃないの?」
 
 体が、一気に寒くなった。
 頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなった。
 それからしばらくして、ゆっくり、もう一度カイルの言葉を頭の中で繰り返す。
 
 ジューダスは、神がいる世界でしか、存在し得ない。
 
「……神がいる、世界でしか……?」
「俺が失った人も、きっと同じだった。もう、記憶すらないけど……全部、神がいない正しい歴史へと戻ったから」
「戻った?」
「うん」
 
 神様がいない、正しい歴史に戻る。
 どういう、ことだ? ……神を殺すことは、歴史の修正と同じ意味を持つというのか?
 この世界は、俺たちが神を殺した後の世界を想像して作られているっていうのか?
 記憶が、ないって?
 
 現代にいる神を殺せば、リアラは消えてしまうけれども、その世界にリアラ以外の俺たちは残るのだと、そう思っていた。
 そうじゃ、ないのか。
 あぁ、そうだ。神は俺たちの時代から少し経った後に降臨したのだと、十年後の世界でナナリーやリアラから聞いたのだ。もし現代の神を殺しても、少しの時間の経過を経て、神は降臨してしまう。
 ならば、神を殺し切る方法というのは、本当にあるのだろうか。
 ……いや、きっと俺たちは見つだして、そして実行するだろう。神を完全に殺す方法を。
 神は、時間を渡る。その神を完全に殺すということは、あらゆる歴史から神を消去するということなのか。
 神はあらゆる歴史から抹消される。
 そして――
 
「わかってくれた?」
 
 口の中がからからに乾いている。
 今になって、ようやく神を殺すということがどういうことなのかを理解した。
 
 あぁ、そういうことか。……そういう、ことか。
 足元から世界が崩れていくような気分だった。
 
「……これが……正史…………」
 
 神はその存在をあらゆる歴史から否定される。
 神は、降臨しない。神によって蘇ったバルバトスもどこにも存在しない。だから、バルバトスに殺されたスタンさんは今も生きていて、カイルはリアラと会わないままで――そして、
 
 エルレインによって蘇ったジューダスも、どこにもいない。
 
 どこまでも現実に近い世界。神の手が存在しない世界。
 第八階層。この世界こそが、正史なんだ。
 神を殺せば、この世界へと俺たちの世界は修復される。
 
 天地戦争の勝敗を逆転された時、世界はドームの町しかない状態へと変えられた。その歴史を修正して戻ってきた現代で、歴史を変えられたことを知っているのは俺たち以外に誰もいなかった。神の力を操るリアラと共にいたからこそ、俺たちは歴史を渡り、本来存在しない世界の記憶を持っている。
 歴史が修復されれば、改変されていた世界の記憶は、消える。
 
 ジューダスと出会ったことも、ジューダスの心に触れたことも、ジューダスが微笑んでくれたことも、一緒にずっと戦ってきたことも。
 全部、全部、なかったことになる。
 
「ジューダスは、どこにも……いなくなる」
「いないよ。これが正史なんだ。……ロニが今、その人の記憶があることがおかしいんだよ。でも、大丈夫、多分……すぐ忘れるんじゃないかな。本来ならあり得ないことだから」
「……」
「だから……受け入れないと。……そうでしょ?」
 
 あぁ、誰でもいいから、嘘だと言ってくれ。
 こんなことが、あってたまるものか……こんな、ことが……。
 
 他に道はないのかと、喚き倒すこともできない。それはもう、十分過ぎるほどカイルが行ったのだ。
 あらゆる困難を乗り越え、知恵を出してきたハロルドやジューダスも、そして神であるリアラ自身もが全員、方法はないと、結論を出したのだ。
 
 この世界は、間違いなく現実世界を描いていたんだ。神を殺した後の、正しい世界を。
 
 ジューダスは、一体いつからこの結末を思い描いていたのだろう。
 第三階層は一瞬だけ、第八階層と同じように変化しかけていた。ならば、あの頃から既にこの結末を見ていたということだ。
 あいつはずっと、世界が既に改変されていることを知っていたんだ。ずっと、これが目的だったんだ。ずっと、神を殺すつもりだったんだ。だからきっと、エルレインを探してストレイライズ大神殿にいたんだ。だからリアラの様子を見るために俺たちと同行することにしたんだ。
 ずっとずっと、最初から
 
「……お前は、こんな……誰もお前を知らない世界を作るために戦っていたっていうのか……自分が消える為に、戦っていたっていうのか……っ!!」
 
 俺が告白したのを、どう思って聞いていたのだろうか。全て、なかったことになる俺の想いを、どんな思いで聞いていたのだろうか。
 『逃げるつもりよ』とハロルドは言っていた。あぁ、そうだな、……本当にそうだ。ハロルドもまた、全部知っていたんだ。
 
 あぁ、クソ、畜生!
 ふざけるなと罵ってやりたい。でも、これは現実に起こるんだ。
 起こって、しまうんだ。
 
「苦しい……あぁ、そうだよな、カイル……こんなの、苦しいよな」
 
 俺は、これを回避する術を、見つけられない。
 神を殺さなければ人類は滅ぶ。どっちに転んでも死ぬってのなら、俺は神を殺すだろう。
 でも、それは……同時に、ジューダスと今まで作り上げてきた全ての歴史がなくなることを意味する。
 
 こんなのは間違っているって、大声で叫びたいのに
 お前は生きているだろって叫びたいのに
 俺の隣に居ろって、伝えたいのに
 俺はそれが叶わない道を自ら歩むしかないんだ。
 
 ジューダスは、消える。誰の記憶にも残らない。俺の記憶にも残らない。誰もジューダスを知らない。その世界の住人に、俺はなる。
 
 嫌だ。
 
 皮肉を投げかけられ、頭に血が上った。
 傷ついた顔を見て、罪悪感に苦しんだ。
 俺たちを思って真剣に想いをぶつけてきた姿に、心から喜んだ。
 一緒に戦って、何度も助けられた。
 笑ってくれるようになった。
 
 全部、消えるなんて、嫌だ。
 嫌だ。
 
 俺は、
 
「……ふざ、けんなよ……」
「ロニ?」
 右手にしがみついていたカイルを激しく振り払った。
「お前は、カイルじゃねぇ!!!」
 怒号を上げる。
「何が、大丈夫だ……すぐ忘れるから、大丈夫だ? ふざけるな!! ふざけんじゃねぇよジューダス!! てめぇは、カイルじゃねぇ! なぁ、ジューダス! ふざけんなよ!!」
 地面にしりもちをついていたカイルの胸ぐらを掴んで、怒鳴り散らした。
 
 こいつはカイルじゃない。カイルではありえない。リアラだけでなくその記憶すら消えるなんて、現実のカイルは今も知らない。だが、もし知ったなら、カイルもまた俺と同じ結論を出したはずだ。
 リアラは消える。世界からその存在を否定される。
 でも、カイルならきっと、気合で覚えているに決まっている。絶対カイルは忘れない。忘れても、絶対思い出すに違いない!
 
「ジューダス! てめぇ、ふざけんなよ! 勝手にこんな世界想像してんじゃねぇ! ふざけんな!!」
 
 きっと神を殺した後、このコスモスフィアのような有様に世界は変わるのだろう。
 ハロルドすらも恐らく、こうなることを予想している。うちのパーティーの頭脳である二人がこの未来を予想している。
 でも、だからなんだっていうんだ。
 まだ、わからない。本当にそうなったわけじゃない。
 俺は、諦めたくない。こんな結果は望まない。こんなもの、自ら望んでたまるか!
 
「ふざけるな! ふざけるな! お前は、なんで自分からこんな世界を望むっていうんだ! 俺は許さないからな! こんな世界、絶対に許さねぇ!!」
 そう喚いて、カイルの胸ぐらから手を離し、右手の石に力を込める。
 体を起こして、レンズへと猛る怒りを向けた。
「起きやがれ!!!」
「ロニ!!!」
 ありったけの怒りをこめて、その拳を振り下ろした。
 偽カイルの悲鳴が響く中、レンズが砕ける。
 
 世界が蝋燭の火を吹き消すかのようなあっけなさで消し飛んだ。
 
 闇夜に黒く塗りつぶされた木々も海も、全てなくなった。世界は漆をぶちまけたかのように真っ暗になった。
 そんな真っ暗な世界の中、俺は目の前で唖然と紫紺の瞳を晒すジューダスを見つめていた。
「……ロ……ニ……」
「よう、おはようさん。眠り姫」
「お前、なに……して」
 地面の境もわからない黒い世界にへたり込んでいたジューダスはその唇をわなわなと震わせた。
「お前、自分が今、何をしたのか、わかっているのか……お前は、神に加担するというのか!? 考え直せ! ロニ!」
 ジューダスは酷くうろたえていた。今まで見てきた中で、一番動揺していた。今にも泣き出すんじゃないかと思うくらいに。
 よたよたと、覚束ない足で体を起こし、俺にしがみ付くように胸倉を掴んできた。
「嫌だ、こんなのは嫌だ!! ロニ!!!」
 多分、俺が神に加担するのだと言えば、こいつは自分の身を切る想いで俺に剣を向けるのだろう。
 俺に剣を向けるのが嫌で、こんなにも取り乱してくれているのだ。
 そう思うと愛しくて、俺は胸倉を掴むその腕ごと、ジューダスを抱きしめた。
「神には、加担しない。俺は、お前と、一緒に神と戦う」
「……ロニ…」
 ジューダスの体から力が抜ける。だが、それならば何故、と目が問いかけていた。
「だがな、ジューダス。俺は諦めないぞ。神は殺す。でも、俺はお前を忘れたくねぇし、失いたくない」
「ロニ、それは……」
「信じない」
 ジューダスが言い切る前に、遮る。
「そんな、誰も知らない未来なんて知るもんか。何でお前は勝手にそんなクソみたいな世界を想像してんだよ。ふざけるな。少なくとも、今は、お前は生きているんだ。自分を消すなんてことするんじゃねぇよ。……消えんなよ……ふざけんなよ……」
 語尾が自分でも笑えるほど情けなく震えた。
 先ほどまでの怒りの勢いはどこへ行ったのか。腕の中にようやく取り戻せたジューダスを前にして、今までの不安が押し寄せてくるようだった。
 こいつを失いたくない。こいつを失わないでいられるなら、情けなく縋り付いたっていい。
 だが、俺の想い人はそんな俺の気持ちなんて何も考えないまま、非情に切り捨てる。
「でも、起きることだ。間違いなく」
 俺は全身に力を込めた。奥歯を音がなるほど噛みしめ、ジューダスを絶対離さないように抱き込む腕に力を籠め、駄々をこねる子供の用に首を横に振った。
「うるせぇ! お前はまだ消えてねぇ! 俺もまだ忘れてねえ!」
「あたりまえだろう。神がまだいるんだ。……でも」
「信じてくれよ、ジューダス。未来なんて見んなよ、今を見ろよ。信じてくれよ……俺は、忘れねぇぞ、忘れたくねぇからだ。お前を忘れないし、もしかしたらお前が消えずに済むかもしれないって、そう信じる」
 俺の腕に押しつぶされそうになっているジューダスが僅かに身じろぐ。
「……消えずに、済むかも? ……不可能だ。僕は一度死んでいるんだぞ」
「そんなの、関係ねぇだろ。それがどうした。お前は今、生きている」
 一度、ジューダスを胸から離してやる。ジューダスの目を、真っ直ぐ見るために。
 消えてしまわないように、細い両肩を握って、ゆっくり視線を合わせる。
 ジューダスの顔は、機械を思わせる程に無感情だった。
「なぁ、なんで自分で死を望むようなことをするんだ。なんで自分が死ぬ未来しか想像しねぇんだ。……なんで、リオンを刺したんだ」
「だって、それが正史だ」
「屁理屈だ。そうじゃねぇだろ。お前は今、生きている。もしかしたら消えるかもしれないからってなんだ。消えたからってなんだ。だからって、なんで今のお前の生を全部否定するようなことをするんだ。怒るぞ」
 即座に否定して見せれば、ジューダスは黙り込んだ。
「言えよ。全部教えてくれよ。何でだ」
 ジューダスには俺の言っている意味が何も分かっていないのかもしれない。唖然と俺を見上げる顔が、こいつは何を言っているんだと言わんばかりだ。
 ならば、建前を消してやる。
「お前はもし、神を殺してもお前が消えることなくこの世界に残ることができたとしたら、こんなこと考えずにいられるのか?」
「それはあり得ない」
「あり得るかどうかじゃない。もしもの話でいい。答えろ」
「……」
 ジューダスは再び黙り込んだ。
 口を閉ざし、俺から目をそらした姿を見て、ふつふつと苛立ちと怒りが込みあがるのを抑えられなくなった。
 間怠っこしい。こいつは無駄に賢いから、こうやって現実って言葉を口に出して、ずっと本音を隠してきた。本音の一つであった第七階層のリオンを殺そうとするほどに。
 そんな姿が、愛しい反面、憎たらしい。
「第七階層のお前は! 消えたくねぇって言ってた! 生きていたいって言ってた!! お前の中に確かにある本音のはずだ! それを、何でお前は殺しちまうんだ!! そうしちまうお前の想いってのは何なんだ!?」
 腹の中ら捻り出した叫び声は、俺とジューダの二人以外何もない世界に、激しく響いた。
 突如の怒号にジューダスの肩がぴくりと跳ねたのを、その肩に触れていた俺の手が感じ取る。
 自分の耳にまでやけに残る叫びが、ようやく消え去った頃、ジューダスは目を伏せたままぽつりと呟いた。
「……生きたいなんて、許されない」
 胸に生まれた次の苛立ちを、生唾と一緒に飲み込む。
 すぐにでも否定してやりたい言葉だが、これは間違いなく、こいつの本音だった。
「あの時も、言ってたな。抗うのは許されない。第七階層のお前を、誰も必要としていないって」
「そうだ」
 何の躊躇いもなく目を閉じてジューダスは肯定する。
 考える前に体が勝手に動いていた。左手は肩に置いたまま、右手は素早くジューダスの頬を張った。
 俺から目をそらして呑気に目を瞑っていたジューダスは綺麗に張り手を食らって、目を大きく見開いて固まった。
 数秒、言葉を失くしていたジューダスは唖然としながら怒り切れていない面持ちで俺を見上げた。
「な、何をする」
「勝手なこと言ってんじゃねぇよ」
 頬を張られたジューダスよりも俺の方が怒りは強い。
「俺は第七階層を否定しねぇ。捨てたりしねぇ! 要らないなんて、絶対言わねぇ! 誰も必要としないなんて、今すぐ撤回しろ!」
 ジューダスは息を詰まらせたようにヒク、と喉を動かし、じわじわと眉を寄せていった。
「……嘘だ」
 表情にありありと現れた不信感。石を飲み込んだように、胸が重くなった。
 この不信感が、第七階層を崩落させたんだ。
「嘘なものか。あいつもお前だ。あいつを否定するってことは俺がジューダスを否定するってことだ。そんなこと、するものか。俺はお前が好きなんだ。言っただろう?」
「あいつはリオンだぞ? お前も見ただろう? あいつが何を理由にヒューゴに加担したのか、あいつが何を理由にお前の両親を殺したのか」
 ジューダスは真っ直ぐ俺を見つめてきた。その眼は自分の言葉を何も疑っていない。俺が間違っていて、自分の言葉が真実なのだと、そう思い込んでいる。
「お前は、自分の両親を殺した男を許せるというのか? あり得ない。お前は優しい奴だから、見失っているだけだ。リオンはお前の両親を殺したんだ。だから、一緒に旅をする為に、お前はリオンと僕を別人として考えてくれたのだろう?」
 そう、こんなにも俺の想いは伝わっていなかったのだ。
「違う。そうじゃねぇ。俺が言いたかったのは、そういうことじゃない」
「……」
 ジューダスは小首を傾げた。
「リオンって名乗ってた頃のお前も、変わらずジューダスだ。全部ひっくるめてお前だ。別人なわけがない」
「……だが」
「知らないって言ったのは、エルレインの言う歴史書に書かれた裏切り者のリオン・マグナスだ。歴史に好き放題書かれていたリオンって人物は、それこそお前とは別人だ。そんな奴は、知らねぇ。だって、本当のお前は伝え聞いて勝手にみんなが想像していたようなリオンとは全く違ぇんだから」
 ジューダスは眉を寄せて暫く黙りこんだ。
「……お前の言っていることこそ、僕には屁理屈に聞こえる。……歴史に伝わるリオンと、お前の言う本当の僕というのは、一体どう違うと言うんだ? 何も事実は変わらない。お前は僕の罪を知る前に僕と関わったから、絆されてしまっているだけだ。お前は、優しいから……リオンにとって都合のいい部分だけを見ているに過ぎない。歴史に伝わる内容と、何も変わりはしないはずだ。よく考えろ。どう取り繕うと、僕がお前の両親を殺したことに変わりはないんだ」
「……ジューダス。お前は直接、俺の両親を殺したわけじゃねぇ」
「間接だったらいいのだと? 馬鹿を言うな」
「そういうわけじゃねえけど、そうじゃなくてだな!」
「僕はヒューゴの計画を知っていた。ヒューゴ側につけば、地上に取り残された者たちが犠牲になるだろうことを知っていた。知ってて、マリアンの命だけを乞うたんだ。……僕は捨てた。地上を、お前の両親を、そしてお前自身も、スタン達も、全部だ。全部見捨てた。わかってて、見捨てたんだ」
 俺は小さく首を横に振る。聞いていられなかった。
 過去にリオンを恨んだ俺よりも、こいつは自分の罪を見つめ続け、苦しんでいる。
「やめろ、ジューダス。……わかってる」
「わかっていない!」
 癇癪を起したかのように、突如ジューダスは声を荒げた。
「わかっているなら、何故お前はそんなことが言えるんだ!」
 
 きっとジューダスが今まで心の奥にずっと抱えていた不信と不安。第四階層を終えてからもずっと残っていたもの。
 俺が深く考えることを止め、あやふやにしていたことを、こいつはずっと考え込んで、一人不安にかられてきたんだ。
 こいつがそういう奴だってことも、ずっと前から気にしていたことも、全部知っていながら、俺はこいつの不安を取り除くことを怠ってしまった。
 何かにつけて難しく考えてしまうこいつに合わせるのは大変だ。大変だけど、ちゃんとこいつが納得できるまで向き合って、どれだけ長くかかろうと、何回だって言い聞かせるように伝えないといけなかったんだ。
 こいつと同じだけ、俺も自分の過去に向き合って、はっきりと結論を出してやらないといけなかった。
 小難しく考えるのは、しんどかった。
 過去の恨みや憎しみを混ぜ返せば、自分の醜さと向き合うみたいで気分も悪かった。
 でも、そうしないといけなかったのだと、俺は学んで、今ここにいる。
 割り切れない思いが沢山ある中、それでも変わらないでいた想いを見つけて、今ここにいる。
 それを、伝えねぇと。
 
 しばし沈黙した俺に、ジューダスは畳み掛けるように声を荒げる。それを、真っ直ぐ受け止めた。
「何で、軽々しく僕を好きだなんて、言えるんだ。大切な人の仇なのに!」
「俺が両親を想う気持ちと、お前がマリアンさんを想う気持ちが一緒だからだ」
 俺の回答に、ジューダスは困惑したように眉を寄せた。
「……一緒?」
「一緒だ。俺が家族のことを失いたくないって思うのも、お前がマリアンさんを失いたくないって思うのも。……一緒だろ?」
「……その為に、僕はお前たちを踏み台にした」
「それ以外に術がなかったんだ。……そうだろう? 他に術があったのなら、お前はそれを選んでた」
「だから、何だというんだ。そんな簡単に割り切れるもののはずがない。ロニ……お前は僕を許すべきじゃないんだ。許さなくていいんだ。……絶対、お前を苦しめる」
「苦しくないって言ったら嘘になる。俺たちよりもマリアンさんを選んだんだなって思ったら、悔しい思いもあった。でもよ、それでも……そんなの関係ねぇんだよ」
「関係ないわけがあるか。何なんだ……何を考えている?」
 
 沢山考えたよ。この一生の内で、一番悩んだかもしれないくらいに。
 今、ジューダスが考えているだろうことも、同じように考えた。
 両親のことを考えれば考える程、ジューダスのことを許せなくなっちまうんじゃないかとか。無意識化で考えないようにしていた理由まで、自分の中から見つけだして、その事実に嫌悪と恐怖を覚えながら。
 それでも、お前への想いは変わらなかった。
 
「結局俺はよ……お前に惚れてんだ。お前がマリアンさんに向けた一途な想いとか、そういう、情に厚いところとか……俺はそんなお前が好きになっちまったんだよ。どんだけ苦しくたって、お前が好きなのをやめられねぇんだよ」
 
 もしかしたら、親父とお袋に裏切り者ってあの世から罵られているのかもしれない。
 でも、俺は胸を張って言えるんだ。ジューダスは、悪い奴なんかじゃないんだって。
 
「俺は親不孝者かもしれねぇ。けど、それでも、俺はお前が好きなんだ。お前がマリアンさんを想ったその気持ちは、何も悪いものじゃねぇ。凄く、綺麗だ」
 
 気づいたんだ。
 両親を想うのなら、ジューダスを憎まなければならないとか、ジューダスを好きになってはならないとか、そんなのはおかしいって。
 
「もしあの時、お前が世界を選んだとしたら……お前はマリアンさんを失っていたかもしれない。俺の両親が生きている代わりに、お前は大切な人を失う。……こんな、おかしなことはない。どっちかが犠牲になるなんてよ。どっちも、同じ想いだってのに。それで、失った側がもう片方を悪魔だの悪人だの罵るなんて……おかしいだろ」
「だからといって、お前が両親を失った悲しみが癒えるわけでも、消えるわけでもない」
「あぁ、その通りだ。……でも、その悲しみがあるからといって、お前を愛しちゃいけない理由にはならない。どれだけ割り切れない想いがあっても、それでも、俺がお前を愛していることに変わりはない。この想いは、消せやしない。両親を亡くした悲しみと、お前を想う気持ちは、何も関係なんてない。どっちか一方を選ぶ必要なんて、ないはずだ。両親も大切だし、お前も大切だ。俺は欲張りなんだ」
 ニカっと、笑って見せた。ジューダスは唖然と俺を見ている。
「だから、俺はお前の隣に居続ける。そして、お前を守ってやる。二度と、あんな苦しい思いをしないように、二度とあんな悲しい選択をしなくていいように、俺がお前を守ってやる。それが、あの騒乱で被災してもお前のことを愛した俺が取るべき道だ」
 第七階層を見てから、柄に無く考え込んでやっと出したこれが、俺の結論だ。
「俺は、お前を許す。だから、お前は俺の傍にいろ」
 綺麗な紫紺の瞳が驚愕の色を映しながら、大きく晒された。
 
 わかってくれただろうか。考えることを避けてきた俺では、もうないということを。
 全て考えた上で、そう結論を出したということを。
 だから、もう、何も恐れることはないのだということを。
 
「お前が大事だ。だから」
「嫌だ」
 
 念を押すように告げる言葉が、はっきりとした拒絶の言葉に遮られた。
 
「ロニ、怖い……やめてくれ……その想いは、凄く苦しい」
 表情を歪め、声を震わせながら、そう言った。
 普段の姿を忘れさせるくらいに、哀れに思える程に怯えを見せられた。
 長い時間をかけて、ようやくジューダスに伝えた言葉を、拒絶された。
「何で……何でだ! 何で……っ! なぁ、信じてくれ、俺の気持ちは本当だ! だから、もう生きたいと思う気持ちを殺すな!」
「でも、お前がどれだけ思ってくれても、結局は全部消える……だから、もういいんだ」
 ギリ、と奥歯を噛む。苛立たしい。
 
 今、考えることから逃げているのはこいつだ。
 
「またそれか! ちげぇだろ! お前はそうじゃねぇ!」
 そんなのは、全部いい訳だ。勝手に終わりを見据えて、勝手に諦めて、そうやって向き合うことを怖がっているだけなんだ。
「ジューダス。生きたいって言ってみろ」
 細い体が小さく跳ねた。一歩、後ずさろうとする。その両肩を再び鷲掴みにして固定した。
 逃がさない。
 その思いは俺の両手に込められた力からジューダスにも伝わったようだ。長い長い沈黙の後、小さく震えてから、消え入りそうな声を零した。
「……許されない……」
 こいつを、こんなにも雁字搦めにしちまったのは、一体何なんだ。
 いいや、知っている。わかっている。俺はその一部だったんだから。
「誰がだ!? 世界か!? それがなんだってんだ! 多くの人間が、認めないからってなんだよ!? そんなの関係ないだろ!? なぁ、認めてくれる人が必要だっていうんなら、俺が認めてやる! 俺が許してやる! だから生きたいって気持ちを認めてみろよ!」
 ジューダスを雁字搦めにしているのは、世界の憎しみと、ジューダス自身の罪悪感だ。
 それがきっと、今この世界を一色に塗りつぶしている黒い鎖の正体なんだ。
 憎たらしい地面を踏みにじれば、金属の擦れる音がした。
「僕、は……もう、既に死んでいるんだ。この命は、まがい物だ。人の命というのは、一つしかない。僕の歴史は十八年前で止まったんだ。僕はそれで、いいと……」
「違う! 違う違う違う!! そうじゃねぇ! 一度死んだからってなんだ! まがい物だなんて何でお前が決めつけるんだ! お前は間違いなく今、生きているじゃねぇか!! 自分が死ぬことに色々理由をつけて、無理やり納得させて、流されてりゃお前はそれで楽なのか!? 幸せなのか!?」
「そうだ!! これでいいんだっ!!!」
 俺の大声を掻き消す程に、ジューダスは声を荒げた。
「それしか、ないじゃないか!! もうやめてくれ! そうじゃないというのなら、お前は神に頼るというのか!? いやだ! 僕は、僕は後悔していない! あの選択を、後悔していない!」
「お前は屁理屈こねてるだけだ! そうじゃねぇ! お前はこの後がどうなるかなんて関係ねぇんだ! ただ、今を生きている自分の命を認めてねぇんだ! お前は過去を変えない、それでいい! でもだからって、今生きている自分の命まで否定しようとするなよ! 何で認めねぇんだ! そんなに駄目なことなのか!? 人が生きようと思うのは、当たり前のことだろう!? 何で認めない!? 何で願わない!? 神を殺した後も、生きていられることを何で望めないんだ!!」
 ジューダスは大きく肩を上下させながら呼吸を荒げ、震えていた。その姿を見ていると、第四階層で処刑された後のジューダスの姿を思い出す。海に沈められた後、過呼吸になりかけて震えていた姿を。
 生きているのに、無理に死の海に沈めようとして、溺れ苦しんでいるかのようだ。
「望んで、いいわけが……ないだろう」
 揺れる瞳が、膜を張っていく。
「僕が世界より自分を選んだあの選択で、大勢の人が死んだんだ」
 じわじわと溢れたその膜は、当人と同じように震えて、決壊したように零れ落ちた。
「だったら、この生は! もう! 自分の為になんか、使っちゃ、だめじゃないか……!」
 初めて見たジューダスの泣き顔が、あまりに悲しく虚しい。
 こんなにも、こんなになってまで、お前は世界なんかを想うのか。
「これが、正しいんだ。これでいいんだ……。神を殺して、こんな、存在してはいけない命も、すべて消すんだ。スタンも、それで生き返る。ルーティも、辛い思いをしなくていい。お前も、カイルも、スタンを失った痛みはない。それが正史だっ。大団円だ! それでいいじゃないか!」
 それでいい、これがいいのだと、必死に自分に言い聞かせて、自分の傷を見ないように、気づかないようにしてきたんだ。
 そうしていないと保てないほど、こいつは傷ついていたんだ。
「それにっ、どう足掻いたって! 僕は死んでて! もうここにはいない! どこにも、何もない! 僕を待っていてくれる人も、帰る場所も、どこにも! 当然だ! 僕は死んだんだから! それが、正史なんだ!! 僕は死んだんだ! もう、どこにもいない! どこにもいないんだ!! だから! 余計なことをもう言わないでくれ!」
 そんなこいつを待っていたのは、赤の他人により教会へと作り変えられ、知らない人間が住むようになった、あの崩壊したダリルシェイド。
 でも、もうそこだけじゃないだろ。
 どうして、お前は気づいてくれないんだ。
 
「俺が待ってる!!」
 ジューダスは涙に濡れた瞳を俺に向けて、くしゃくしゃに顔を歪めた。
「嘘だ! 全部忘れる!!」
「忘れない!!」
 即答し、俺は濡れた瞳と睨み合った。
 絶対折れてやる気がなかった。
 改変された歴史の記憶を持たない世界が現実に広がっていることは知っている。でも、そんなのは関係ないんだ。
「確証も保証もない。そんなんで、信じられないっていうお前の気持ちもわかる。でもよ、俺が忘れるって未来が絶対なわけでもない。まだわからない未来なんだ。なら、絶対忘れないって信じ込めば、それだけ忘れないでいられる確率はきっと上がる! どうせ忘れるんだって何もかも諦めたら、忘れちまう確率がきっと上がっちまう! だから、信じろ!」
 カイル並みに支離滅裂なことを言っていることは、自覚してる。でも、俺はそう信じているんだ。
 ジューダスは歪めた顔に少し呆れを交え、小さく首を横に振った。
「…………お前は、馬鹿だ」
「馬鹿でいい。あんな世界を望まなくていいなら、いくらでも馬鹿になってやる」
 また、子供が駄々を捏ねるようにジューダスは首を横に振る。
「なんで、お前達に触れ合ってしまったんだろう……なんで、再びこの世界に蘇ってしまったのだろう……いっそ、誰にも僕の声が聞こえなければ、誰も僕と触れ合えなければ……こんなにも、苦しい思いをしなくてよかったのに」
 白い手が、俺の両腕へとかけられ、その手を自分の肩から剥がそうと弱々しく力を込める。
「ロニ、お願いだから、それ以上触れないでくれ……辛い……辛いんだ」
 ぽろぽろと涙を流しながらも、満足に力を入れられない指が何度も何度も俺の腕を滑った。
 俺はその嘆願を聞き流して、ジューダスの後頭部に右手を回し、無理やり俺の胸へと抱き込んだ。
 とん、とん、と力なく胸を殴る手が、離せ離せと訴えている。とめどなく流れる涙が俺の心臓を冷やした。
 それでも俺は、放してやれない。
「ジューダス。確かにお前は、とんでもねぇ罪を抱えこんじまった。でも、俺はその罪も全部ひっくるめて、お前を愛してる。世界中の誰もが許さなくても、俺が許してやる。世界中の誰もがお前を憎んでも、俺が愛してやる」
「……ダメだ、ロニ、もう、やめてくれ。苦しい」
 どれだけ愛を伝えても、ジューダスは苦しい苦しいと言って悶えた。
「何で、苦しいんだ?」
 ジューダスは変わらず俺の胸を叩きながら、嗚咽交じりに言った。
「お前の想いに、応えてやれない。許されない」
 その時、ようやく俺は気づいた。俺の胸を叩いていた手が、その弱々しい痛みから何を伝えようとしていたのか。
「許されなくたっていいじゃねぇか」
 胸を叩いていた手が止まった。
 心臓を冷やしていた瞳が、俺を見上げてくる。何を言っているんだって顔に書かれている。
「なぁ、それってよ、俺の想いに応えたいって、そう思ってるってことだろ?」
 開きかけられていた口が、先の失言に気づいて閉じられた。代わりに、顔を隠すように俯く。
「でも、無理だ。僕は……全部終わったら……」
「なぁ、難しいことは考えなくていい。俺の想いに応えたいって、それだけ言ってくれよ。できるできないの前に、お前の想いを、俺にくれよ」
 欲しくて、欲しくて堪らない。すぐ目の前にあるのに、諦めるなんてできるものか。
 世界なんかに、くれてやるものか。
「ジューダス……愛してるんだ。世界なんてどうでもいいって想うくらい、お前を愛しているんだ」
 抱きしめる力を強める。触れ合う胸から俺の想いが伝染してしまえばいいのに。
「……僕は、お前なんか、嫌いだ。こんなに、苦しめる」
「…………悪い」
「お前はどれだけ僕が言おうとも、勝手にここまで入り込んで……最低だ」
「お前が好きなんだ」
 そう答えてから、長い間ジューダスは俺の胸の中で沈黙した。
 鼻をすする音だけが、時々聞こえた。
「なぁ、ロニ」
「うん?」
「一番、最低なのは、僕だ」
 思わぬ言葉に、腕に込めた力を緩めた。でも、ジューダスは逃げたりしなかった。
「お前がかけてくれる言葉が、全部、嬉しいんだ」
 そう言って、自ら俺の胸に留まった。
「全部、全部、嬉しくて、仕方ないんだ」
 罪を告白するかのように、泣きながら俺の胸にしがみついていた。
「何も応えてやれないのに。僕が過去に選んだ選択で、お前を沢山、傷つけたのに、お前の望む通りに、一緒に生きてやれる未来も、ないのにっ、こんなこと……っ、思っては、いけないはずなのに」
 その時、胸の中を嵐のように駆け巡った歓喜を、俺は言葉に表せない。
「ロニ、苦しい」
「俺は、嬉しいよ。ジューダス」
 そう言って、再び俺はジューダスを抱きしめる腕に力を込めた。
「ぅっ……うぅ……」
「ジューダス、愛してる」
「お前なんて、嫌いだ。どうしてくれる……」
「一緒に生きよう」
「生きられないのに」
「俺は信じてる。信じて、ずっと待ってる。ずっとお前を想ってる」
「だとしたら、きっと寂しい思いをする。お前が忘れられなかったとしても、僕はいない。忘れが方がいい」
「お前を忘れる方がよっぽど辛ぇ」
「嘘をつくな。忘れてしまったら、忘れていることすら自覚できないんだ」
「それでも、きっとずっと胸に穴が開いてるような感覚があるんだ。きっとな。だって、今、こんなにもお前のことが欲しいんだ」
「……ロニ」
 屁理屈ばかりこねる姿も、もはや愛おしい。
 絡まっていくつも玉を作った糸のようなそれを一つ一つ解きほぐし、その先に希望を見てそっと引っ張る。
「ジューダス、俺のことばっか気にするなよ。お前の悪い癖だ。俺がどうこうじゃない、なぁ、お前の本当の気持ちを、教えてくれよ」
 答は返らない。何も言葉にできないまま嗚咽を鳴らすジューダスの頭を、そっと撫でた。
「なぁ、ジューダス。お前が本音を口にするのに世界の想いが邪魔だってんなら、もっかい世界なんて捨てちまえよ」
 ジューダスの肩が怯えるように震えた。
 ひでぇことを言っているのは、わかっている。でも、
「こんな、ささやかな、誰もが思う当たり前の気持ちを縛り付ける世界なんてクソくらえだ。お前がそれを口にしたとしても、別に世界が壊れるわけじゃねぇんだ。いいじゃねぇか」
 ジューダスの世界を雁字搦めにしている黒い鎖は、現実世界には物体を持っていない。
「なぁ、ジューダス。現実なんて本当に残酷で馬鹿馬鹿しい。お前がこれだけ苦しんでいても、世界のみんなは何もわかっちゃいねぇんだ。同じように、お前がこっそり生きてたって、世界は何も変わらないし、気づきもしねぇよ。だから、何もそこまで馬鹿みたいに真面目に、世界の想いに応えてやる必要なんか、ねぇだろ。歴史上ではもう、悪役のリオンは死んだんだ。だから、もういいじゃねぇか」
 ジューダスの背を、上から下へ、ゆっくり、何度も何度も撫でた。その背にずっと背負ってたものが、落ちていけばいいと願いながら。
「お前は、もう十分苦しんだし、十分頑張ったよ。すっげぇ頑張った。だから、もう、いいじゃねぇか。お前の頑張りも苦しみも何も知らない、そんな非情なもん、捨てちまえ」
 そっとジューダスの肩を押して、俺の胸から剥がす。泣き腫らした目が痛々しい。
 両手で小さな顔を包み込んで、親指で頬の涙を拭ってやる。もうそれ以上、涙は溢れてこない。ジューダスの瞳は、真っ直ぐ俺を見ていた。
「なぁ、世界よりも、俺を選んでくれよ」
 暫くして、ジューダスは困惑とも不安ともつかない不思議な表情をしながら呟いた。
「お前は、悪魔みたいなやつだな」
 その言葉に、俺は思わず笑った。
「ハハ! 生真面目なジューダスちゃんを誑かす悪魔のささやきってか? そうだな。俺は割と悪い奴だ。自分の大切なモンの為なら、気に喰わねぇアタモニ神団を放ってレンズを盗もうともするし、神殿に忍び込んだりもする。ウッドロウ王との謁見のために姑息な手段だって使う男なんだよ」
 これに関しては、ジューダスの方が頭の固い馬鹿で、俺の方がよっぽどずる賢い。
「なぁ、ジューダス。俺は世界よりもお前を選ぶぞ」
 何の躊躇いもなく、俺は笑って言った。
「……お前は……酷い奴だ」
「あぁ、俺は酷い奴だ」
 ジューダスは眉を寄せて、難しそうな表情をしながら大きく息を吐いた。
「ロニ、人間というのは、そう簡単に変われないものだな……」
 そう言って、俺の胸に額をこつんと当てた。
「僕も一緒だ。悪魔なんだ。世界にとって最低な人間だ」
 小刻みに細い体が震える。ジューダスの息遣いが、少し荒くなる。
 何か言葉を発しようと、息を吸っては、空気だけを吐き出して、はくはくと薄い唇が震える様が、頭上から僅かに見えた。
 そんな僅かな唇の動きや、息遣いが、全て耳に届くほど、俺は全身を研ぎ澄ませて、ジューダスが必死に告げようとしている言葉を待った。
 
 やがて、それは長い時間をかけて、掠れながらも、確かな音となった。
 
 
「僕は、世界より……お前を……選ぶ」
 
 
 真っ黒な世界を、光の柱が切り裂いた。
 世界を一色に塗りたくっていた鎖は、光の柱に照らされ、次々と朽ちて粉々になっていく。
 粒子にまで砕かれたそれは、光に照らされ、下から上へと舞い上がっていく。
 
 そんな中、俺はジューダスが口にしたその想いを吸い取るかのように、その唇に自分の唇を合わせた。
 あったかい。
 ようやく、俺たちは繋がったんだ。
 
 光の柱はどんどんと大きくなり、真っ黒だった世界を広がっていく。
 長いくちづけの後、ジューダスはくしゃっと顔を歪めて微笑んだ。まだ苦悩が混じる笑顔だったけれど、その瞳は嬉しそうに見えた。
「あぁ、きっと、罰が当たる」
「そんなもん信じてるのか? 似合わないな」
「……確かに、そうだな。似合わない。あぁ、そうだった。僕は神が大嫌いなんだ」
 ふふ、と息を吐くようにジューダスは笑った。
 ジューダスの手が、俺の背へと回る。ぎゅっと俺を抱き寄せる。
「ロニ、お前と一緒にいたい」
 思わず絶句した。体が痺れた。
「ずっと、一緒にいたい。お前の言葉が、全部、嬉しかった。すごく、嬉しかった」
 歓喜に震える両手を、必死にジューダスの背に回して、俺も応えるように抱きしめ返す。
「お前と生きたい……生きたいっ……消えたくない」
 胸を叩く不確かな想いではなく、確かな言葉が俺の耳から心臓を震わせた。
「ジューダス……っ!……あぁ、一緒にいよう。絶対だ。お前は消えないって、俺とずっと一緒だって、強く願うんだ。心の底から、願ってくれ!」
 こくこく、とジューダスは頷いて見せた。
「ジューダス、好きだ、好きだ。愛してる」
 馬鹿の一つ覚えだって、呆れられそうなくらいに繰り返した。何回言ったって足りなかった。何度言ったって表現できない。
 ジューダスは、怒らずに俺の言葉を受け入れてくれた。
「僕もだ……ロニ。ずっと、ずっと、お前の言葉に救われていた」
 
 世界が完全に光に包まれた。
 
「お前のことが、好きだ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ■相変わらずくそ長いあとがき
 
  や っ と デ レ た
 
 もうすんごい難産だった。書いては消して、添削して……なんかもうキリがなくてとりあえずうp。
 読み返すのが怖いよママンwww読み直すのはまた今度にするお^ω^;
 
 第七階層が一番いろいろ噴出して複雑でめんどくさかったんですが、第八階層は第八階層で2つの問題が重なって複雑でした。
 一つは、ジューダス自身が生きたいと思えない理由である、世界への罪悪感。
 もう一つが、たとえ生きようと思っても、神を殺さなければならない現状で、神を殺せば自分は確実に消えるっていう現実。
 両方を何かしらの形で説得してあげないとジューダスが前向きになってくれなかったので、同時に説得しないといけなくなってめんどくさかったというか、書いてて混乱して大変でした^p^;;;
 つか内緒の妄想ジューダスが ああいえばこういう って感じに、もうgdgd言い訳してくるから説得くそめんどくさかttww
 ほんとこの子の抱え込んでしまったものは、どこまでも途方のないほど重くって、雁字搦めで……ふああ大変だったねロニ。でもありがとう根気よくジューダスを助けてくれて!
 苦労した分だけ、初めてジューダスから 本当は「嬉しかった」のだと打ち明けてもらった時はめちゃくちゃ嬉しかったでしょうねロニ。もうね、あまりの大変さに内緒もジューダスがデレてくれて嬉しかったよ! 自分で書いてて何言ってるんだって思うけど ホントネ!
 
 
 ■第八階層の設定
 ジューダスが想像する、神がいなくなったあとの世界。それがそのまま形となった階層です。
 本来の第八階層はそういう階層ではなかったのですが、直前に第七階層を崩壊させた為、このような世界へと切り替わりました。
 変化前は世界への贖罪を表したようなコスモスフィアになってたんじゃないかなって想像してます。崩壊したダリルシェイドや十字架が至る所に建ち並んで、世界は真っ黒い鎖に覆われてる。そんな世界じゃないかなと。
 
 第八階層が今の現状に変貌し、現実のジューダスが目覚めなくなったのは、第八階層ジュダが自分は死んでいるって自己暗示を強くしたからです。それを抑える役目だった第七階層が崩壊しちゃいましたからね。
 第八階層ジュダにとって第七階層リオンは、本来歴史にいるべきではない自分を生かす神の手そのものとも言えました。なのでリオンを刺したら神の手が消えて、ジューダスも消えるのだと、そういう風に自己暗示かけたってイメージ。
 コスモスフィアなんて存在しない、自分の世界なんて存在しない。世界は自分がいないままに回っている。そう心の底から思ったわけです。
 生前リオンならば、そんなのは嫌だって言うんじゃないかなって思います。(プルーストイメージ)
 でもジューダスは、十八年後の世界で実際に自分が存在しないまま回った世界を見せつけられたわけで、それってかなりショックで、絶望的だと思うます。(´・ω・)そんな衝撃が、心の底からこんなことを思ってしまえちゃう人格を作ったって感じで。
 
 だから心の護であるシャルティエすらはじき、シャルティエがどれだけ人格を起点に精神世界をつなげようとしても、そんな人格この世界に存在しません!って世界が作られているせいでリンクができずダイブが不可能になってたって設定。
 
 
 第八階層ジュダは世界を想う人格です。愛する人の為に捨てた世界。二度目の生は、世界の為に使うべきだって思ってました。
 そして彼が聞いた世界の声は、憎悪で溢れていて、もはや死ぬこと以外に世界への応え方がなかったんです。
 だから彼はずっと死に場所を求めていたんですね。
 
 そんな第八階層ジュダからしたら自分のすべてともいえる世界という存在を、ロニがそんな奴のことなんか無視しちまえって感じで言ったのは衝撃的だったでしょうねw
 
 崩壊寸前のジューダスちゃんを必死につなぎとめたロニの愛
 重い。だが、それがいい。
 暑苦しく、くっそ重たい。でもそれくらいのものじゃないと、きっとジュダは生きていけなかったろうから、ロニがとんでもなく重い愛を持った人間になってしまいましたw ガハハw
 もう書いてていつの間にロニ君そんなにジュダのこと盲目的に愛しちゃったの?って自分でもわけがわかんなくなった。
 でもあれだよね、人を好きになるのに理由なんていらないってえろい人が言ってたよね!!
 
 第八階層はカウンセリング回www まぁダイブって基本そんな感じだけどね!w
 第七階層の生きたいって思う気持ちが完全に崩壊しなかったからこそ、第八階層ジュダはロニに靡いたのよ!
 崩壊してなくてほんとよかったね!
 あ、今思えばこれ  ロニ→ジュ→世界 っていう一方通行片思い! これが ロニ→←ジュになるっていう! 何言ってるんだ私は!
 
 あと、ダイブ前にルーティが墓を作ってくれていることにジューダスが気付かなかった場合、コスモスフィアで彼はあの場所にはいず、海の中を彷徨っていたと思います。そうなると見つけるのかなり困難になったので、ロニはルーティさんに超絶感謝すべきww
 
「でも、それでも! 僕が世界より自分を選んだあの選択で、大勢の人が死んだんだっ! だったら、この生は、もう! 自分の為になんか、使っちゃ、だめじゃないか」
 ってセリフが気に入ってます^p^

Comment

  1. なかむら より:

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  2. 内緒 より:

    なかむらさんこんにちはああああ!!
    こちらこそ、読んでくださりありがとうございます!
    プルーストのリオンちゃんはほんとよく泣く子でしたよねwww
    シーンの抜粋がリオンの辛いシーンばっかりだったので仕方なかったのかもしれませんけど、連続で泣いてるとどうしても「こいつ、よく泣くな……」って思っちゃいますよねww もうすっごい共感ですww
    うちのジューダスはホント強がりっ子ちゃんで本音を建て前で隠してた子なので、ロニに本音を引きずり出されてようやく泣きましたね!w
    わぁあ! あのセリフに感動してもらえて嬉しいです! やっぱ気に入ってるところに何かしら共感をもらえると凄く嬉しいですブヘヘヘヘヘ///
    そうなんですよおおお! それなんです! いっぱいいっぱいで、もうほんっと途切れ途切れにつっかえながら喋ってる感じにしたかったんです! わぁああわかってもらえてうれじぃいいい゛いいいい
    もうほんっとww ジューダスゥウウ!!言ってることはわかる、わかるけど!!! ってやつですよね!ほんっと!!!
    もう今までどれだけジューダス君の悲しい思考にやきもきさせられたか><!
    ひぃいいベタ褒めありがとうございますぅうう(照)
    個人的にずっと救いたかったジューダスを内緒の思いつく最大限の方法で救ったお話とも言えるので、そう言っていただけるともうほんっと嬉しいです!
    二人には末永く幸せになってもらいたいものですよね!!
    ジューダスはほんっと、今まで沢山頑張ってきました。そんなジューダスをずっと見続けたロニだからこそ、彼もまた頑張ってくれたのでしょうね!
    ロニさんにはほんとに内緒からも感謝感謝です!>w<
    こちらこそ、感想を下さりありがとうございます!
    個人的に気に入っても、やっぱり一人で書いたり妄想したりしている分にはなんだか独り善がりな感じがあって、誰かにそう言ってもらえると、凄く自信をもって更にさらに自分が作った妄想が好きになれて嬉しいですホント!!
    またいつでもお越しください(*ノノ)

  3. 匿名 より:

    ああ、もう、ほんとなけました!!

    • 内緒 より:

      わぁあ~~~!! 嬉しいですっ!! ありがとうございますっっっ!! それだけ感情移入して呼んでいただけるのは作者冥利に尽きます……っ!!