改変現代後設定。ジューダスとしての命の寿命が神を殺した時ではなく神を裏切った時だったとしたら燃えるのではないか。って妄想からできた産物。
散り行き帰るは – 1
小さな丸窓から見える黒と白の世界。 ラディスロウの厚い窓をしても、そのガラスは冷たかった。 わずかに窓に触れた手を引っ込め、黒衣の少年は目を瞑り、静かに仮面をはずす。 カイルは1000年前の世界にはしゃぎ、 […]
散り行き帰るは – 2
「18年前の古傷…」 『ぼっちゃん、左肩が痛むのですか…?』 暗闇の中で控えめなシャルティエの声が響く。 ジューダスはシャルティエの声には答えず目を瞑った。 もう皆眠っているのだ。声を出すのは躊躇われる。そ […]
散り行き帰るは – 3
ラディスロウの廊下を歩く4名。 その廊下を歩く4つの足音の一つが止まったことに気づいて、ナナリーは後ろを振り返った。 そこには頭の後ろを掻きながら視線を下げ、複雑な表情をしているロニの姿があった。 彼はすぐにナナリーがこ […]
散り行き帰るは – 4
激しい揺れと音を立て、ラディスロウはダイクロフトへと突っ込んだ。 瓦礫が外殻の隙間から遥か地上へと落ちていく中、ジューダスは酷い揺れを壁に手をつくことで、特に倒れることもなくやり過ごした。 だが、ハロルドを除く仲間達はそ […]
散り行き帰るは – 5
突然の突風に、リアラから小さく悲鳴が上がる。 やはり、空の上に作られただけあって…外殻の上は風が強かった。 あれからバルバトスの言葉通り、こうして18年前の神の眼があるダイクロフトへと向かおうとしている。 […]
散り行き帰るは – 6
あれからジューダスもすぐ休み、一晩たった。 まだ朝早いほうだったが、あの寝坊だけが得意のカイルが簡単に目を覚ました。 原因は、死者の目覚め程の音。外殻の破壊音だった。 その振動は外殻全体を行き渡り、何が起きたんだとカイル […]
散り行き帰るは – 7
何かを求めて彷徨った左手が握ったのは、冷たい雪だった。 それにより、その場に倒れていた少年のアメジストが開いていく。 「……凍え死ぬところだったな」 体を起こせば体に積もっていた雪がさらさらと […]
散り行き帰るは – 8
あれから一日休み、地上軍拠点跡地へと出発することになった。 天候は今のところ良好。雲は広がっているが雪が降ることはない。 「よし、準備できたよね!」 カイルが皆を見回して聞くが、聞いている張本 […]
散り行き帰るは – 9
「申し訳ありません……押し付けるようで…」 「いえ、構いませんよ。信頼して頂けて光栄です」 ウッドロウは初老の男に微笑みかけた。 そうすれば男は安堵したように息を付き、また深々と頭を下げる。 […]
散り行き帰るは – 10
イクシフォスラーへ乗り込むため、ハイデルベルグの街道を歩く。 普段は街中といえど気を張って、いろんなところに視線をやり、警戒しながら町を歩いたりするのだが……ジューダスは今、顔も上げたくなかった。 「自業自 […]